アーセナル 0-2 リバプール

祝！エミレーツ初勝利っっ！！コシエルニーが早い時間に負傷して退き、残り20分は退場で一人少なくなるという、踏んだり蹴ったりの上にさらに強烈パンチを受けて満身創痍のガナーズを相手に、先制点を決めるのにオフサイド＆オウンゴールという幸運が必要でしたが、まあそれでもとにかくめでたいです！最高のパフォーマンスとは言えませんでしたが、だからこそ厳しい相手に厳しい場所できっちり勝利を収められたことは、これからの自信のためにとても大きい。これからのチームのさらなる進化に期待です。

アーセナルは非常に難しいチーム状況でしたが、それでも試合開始からいきなりガツンとスピードあるリズミカルな攻撃を仕掛けて来て、若い誰が代わりに出てきても同じフットボールがやれるところは、さすがベンゲル監督のチームでした。しかし主力を欠いたパワーダウンは否めず、次第にリバプールも押し返し始めました。攻撃に関してはやはり相互理解の不足がちらほら見え、簡単にボールを失うことが多かったですが、守備ががっちり安定していたのが大きかった！両サイドのケリーとエンリケがすばらしい出来でした。特にエンリケ。ウォルコットに全くスペースを与えず何もさせず、彼のドリブル得意なところも何度か見せてくれました。この人はグラウンダーのプレーに絶対的な自信を持っているようですね。今度はボールをボコボコ放り込んでフィジカル勝負を仕掛けてくる相手にはどこまでやれるか、ものすごく楽しみです。

スタメンを見た時はカイトを2トップの一角で使うのかそれとも右にするのかどちらだろうと思いましたが、4-2-3-1の右サイドでした。中盤3枚でアーセナルのフリンポン、ラムジー、ナスリにしっかり対応できていて、相手にここでの主導権を与えず、結果としてポゼッションで彼らを上回ることができました。

試合は一進一退、若干リバプールの方がチャンスが多いか？という感じで進みましたが、流れが変わったのはスアレスとメイレレスが同時投入されてからでした。相手が一人少なくなった直後なので単純にその前と比較はできませんが、それでもショートパスがポンポン繋がって前線が活発に動く、全く違うチームになったように見えました。1点目はあれはオフサイドで、しかも相手のクリアが味方選手に当たって入るというちょっとガナに気の毒なゴールでしたが、そこに行くまでの流れが良かったですね。後半にスアレスとメイレレス、マキシが3人並んでアップしているのを見て、「豪華だな～」と嬉しくなりましたが、彼らの起用がばっちり当たりました。2人とも、まだスタメンにはコンディションに若干の不安があるんでしょう。

1点リードした後は、相手は一人少ない状況ですからそこで一気呵成に攻め込んで試合を決めて欲しいと思いましたが、チームは無理に前がかりになろうとはせず、むしろこのまま守ろうという姿勢に見え、ここはちょっともどかしかったです。そういう消極的な姿勢のツケを払うことはままあるので･･･。しかしそんな杞憂をよそに、相手のぽっかり開いた中盤をルーカスがきっちり使って、メイレレスからスアレスと繋いできれいな形での2点目を決めてくれました。セレブレーションでメイレレスが中指を立てたのはどうしたことかと思いましたが、報道によるとどうやらルーカスに向けたもので、ルーカスを削って退場したフリンポンが彼に中指を立てたため、そのことへの冗談を込めて「やってやったぜ！」という意味だったようです。急いでその手をスアレスが隠して、彼の方が実は大人ですか（笑）。

コンディションが問題なければ次節はメイレレスとスアレスはスタメン起用してもらいたいと、この試合を見て誰もが感じたんじゃないでしょうか。4-3-3ならダウニング、キャロル、スアレスを並べて、その後ろにアダム、ルーカス、メイレレスという形で行けますが･･･。今日はキャロルへの単純な放り込みはほとんどありませんでしたが、それでもやっぱり彼は孤立気味でした。ヴェルメーレンが非常に良かったこともあったんですが、それでも完璧に押さえ込まれていたわけではなく、競ったボールがフィフティになることも度々。しかしそれを拾いに行く選手が回りにいないんですよね～。ポジショニングの問題なのか無理に上がり過ぎないというチームプランだったのかわからないですが、彼の強みが上手く生きないのはもどかしいです。黒ネコ戦のゴールが認められていれば、この試合のヘッドがファインセーブされていなければ、今頃「キャロルすごいよ！」となっていたかもしれないだけに、本当に紙一重なんですけどね。

これまで2試合を見て、新加入の選手たちに関して感想を少しだけ書いておこうと思います。ダウニングは文句なし、彼はすでに攻撃の要になりつつあります。ヘンダーソンは真ん中の方が良さそうで、この試合はシンプルでまずまずのプレーでしたが、スタメン確定となるだけのインパクトは残せていません。まだこれからの選手だと思います。アダムは彼の強みは出せていますが、ちょっとパスミスが多すぎるのと、若干機動性を欠くように見えるところが気になります。この試合の前半の出来ならスタメン落ちもあり得る感じでしたが、後半盛り返して良かったです。エンリケは、今のところ値段を考えると一番の補強と言っていいんじゃないでしょうか。課題らしい空中戦の競り合いをどうこなしてくれるか、これから注目したいと思います。

試合後のケニー、キャラ、エンリケのコメントです。

●ケニー（公式HP）
「ものすごく優秀な交代選手が2人だね。我々はアンディ･キャロルの仕事にもディルク･カイトの仕事にも本当に満足していたが、ベンチにあれだけの能力を持つ選手が2人いたら、少なくとも使ってみないのは誤りだろう。
私たちは１ゴールに値したと思う。昨シーズンよりもスカッドは強くなったと私がいう理由はそこだ。これは、このスカッドがどんなに強いかというすばらしい一例だよ。

（スアレスでなくカイトをスタメン起用した理由を聞かれて）先週のサンダーランド戦では、私はおそらくルイスに関してちょっと現実離れした考えを持っていたんだろう。それは彼に対してアンフェアだった。復帰して来た彼は非常に状態が良く、トレーニングでシャープに見えた。私は彼に1試合をやらせようと思ったんだ。

おそらく先週は、私の決断が間違いだった。彼はそれでもゴールを決め、それでも良いプレーをしてくれたが、普段持っているはずのエネルギーはとにかくなかったよ。おそらく、私たちは彼をちょっと早く戻し過ぎたね。

ルイスの状況を、私たちは他の全員にやっているのと同じように扱わなければならない。他にも私たちが始めて扱う選手たちが4、5人いる。ラウル･メイレレスは負傷して困難なプレシーズンを送っていたから、ルイス同様彼も慎重に扱わなければならない。

（この試合は）プレミアリーグのすばらしい宣伝だったよ。両チームのフットボールの質は、特筆すべきものがあった。試合全体を見れば、おそらく私たちは勝利に値した。試合前に相手が問題を抱えていることはわかっており、おそらく彼らはピッチの上に送り出したいと思う最強のチームではなかっただろう。しかし私たちはピッチの上に立つ相手と対戦するのみだ。彼らがどんな選手を出してこようと、能力あるチームであることはわかっていた。
私たちは特に良いプレーをしたと思う。徐々に変化させてそれをやり、おそらくは勝利に値した。

シーズンの中では、いつもよりも上手く行く時期というのがあるものだ。アーセナルはすばらしいフットボールクラブであり、アーセン･ベンゲルはここで信じられないほどすばらしい仕事をして来た。彼らは今の状況よりも良い時期があったと私は思うが、それは私たちが判断を下すことではないね。

（市場が閉じるまでにさらなる移籍はあるか、との問いに）正直に言ってわからないよ。もし私がイエスと答えたら、うそつきと呼ばれているんじゃないかな。フットボールでは状況の変化は避けられないものだと思う。もし誰かが何かの理由でこちらのドアを叩いて来たら･･･しかし全員がここに残るのならば、私には何の問題もないよ。」

●キャラ（SKY SPORTS）
「相手はすばらしいチームであり、長年そうあり続けている。アウェイに赴くには難しい場所だが、今日の俺たちは勝利に値した。
公平に見て、彼らには大勢の負傷者が発生し、今日は2人が出場停止だったから、それだけ重なると時期が悪い。しかしヴェルメーレンは目覚しい仕事をしていたと思うよ。前半は特にだった。
先週は全員が良いスタートを切れていたが、そこからちょっとばかり息切れした･･･選手、ファン、スタッフが少し気持ちを落としていて、その後だったから俺たちはここで証明しなければならないことが少しばかりあったと思う。」

●エンリケ（SKY SPORTS）
「前半の僕たちには数多くのチャンスがあったが、得点できなかった。しかし1点目の後は試合をコントロールしていたよ。
（新加入の）全員が今日はスターティングイレブンに入り、僕たちはしっかり仕事をしてイングランド最高のチームの一つを相手に勝利した。もっと良いプレーをするためには、もっと一緒にやらなければならないね。しかし僕たちは今日は良くやれた。僕もまずまずのプレーができたと思うが、選手たちのことをもっと知らなければならないね。」

●SKY SPORTSのレーティング
レイナ：6　困らされたことはわずかだったが、ファン･ペルシーのペナルティエリアからのシュートを賢くブロック。
ケリー：7　後半の強烈なパイルドライバーは得点までわずか数インチ。完璧にアルシャビンを抑えた。
アッガー：7　最終ラインで鉄壁、試合を通してずっと破られそうには見えなかった。
キャラガー：7　ファン･ペルシーを苦しめ、アーセナルにレッズのペナルティエリアでスペースを与えず。
エンリケ：8　左サイドですばらしい仕事をし、アーセナルのスペースを封じてウォルコットをいらいらさせた。
ヘンダーソン：6　大半は消えており、攻撃に大きく貢献することに四苦八苦。
ルーカス：7　ガナーズからの攻撃に責任を負い、粘り強く頑張った。
ダウニング：7　美しい2点目に貢献、常にボールをアーセナルのボックスに入れようと試みていた。
アダム：6　後半は生き返ったが、前半の45分はお粗末な判断で悪かった。
カイト：7　活発で精力的、リバプールのパフォーマンスの要となる歯車。
キャロル：6　すばらしいヴェルメーレンに良く対抗していたが、彼自身のチャンスを作るのに四苦八苦。
（SUB）メイレレス：7　スムーズにプレーを繋ぎ、二つのゴールに鍵となる役割を果たす。
（SUB）スアレス：7　アルゼンチンから戻ってきて交代出場で得点したアルゼンチン人この選手は、ほぼ間違いなくこの試合のスタートから起用すべきだった。