ミラー紙より、トーレスの自伝「El Nino: My Story」からの抜粋
Part3です。ヒルズボロについて。
----------------------------------
ヒルズボロの悲劇が起こった時、トーレスは庭でボールを蹴っている4歳の子供だった。
あの日の衝撃と失われた96人の命を、今年4月15日の20周年追悼セレモニーで彼は痛感した。
彼は語る。「僕は、自分の見ているものをほとんど信じられなかった。スタジアムはほぼ満員だった。KOPは人で埋め尽くされていた。
アンフィールドで僕たちが受けた歓迎には、鳥肌が立ったよ。僕たちのファン全員が立ち上がり、何年も続くかのようなオベーションをしてくれた。命を落とした人々のための追悼は、僕の背筋に震えを起こさせた。あれは怠慢と、未だ釈明されていない事柄から起こった悲劇だった。犠牲者の家族は今も正義を求めている。大勢の人々にとって、その涙は怒りの涙なんだ。
選手とファンの間の結束、その一部分はこの悲惨な経験を共にしたことから来ている。」
「イングランドのスタジアムで行われる1分間の黙祷は、いつであろうと完璧に静寂が守られる。心に直接触れる1分間だ。静寂を破るのは一筋の涙。アトレティコ・マドリーのアンセムがレアル・マドリーのスタジアムで響くところを、誰か想像できるだろうか?
アンフィールドにいるエバートンファンも、追悼の日には敬意を払って黙祷を捧げる。これはイングランドでしか見られないことだ。
僕がイングランドに来て以来本当に目を奪われたことが一つあるとしたら、それはリバプールファンのものすごく大きな人々の動きだ。
あらゆる選手が、こういうファンを夢見る。ここアンフィールドでは、僕たちにはそんな彼らがついている。」
----------------------------------
ヒルズボロの悲劇については、20年を経た今も、事件の真実を求めて戦い続けている方々が大勢いらっしゃいます。当時のことや現地のことを良く知らない自分に何か語る資格はあるんだろうか、といつも思うんですが、それでも日本のメディアで今もあの悲劇がサポーターの衝突が原因のような言われ方をすると、本当のことを知って伝えて欲しい、と非常に歯がゆい思いに駆られます。
PR