CL敗退を考える

今回のCL敗退をどう見るか？タイムズ紙でバレット記者がQ&A形式で答えています。
-----------------------------------
今朝のラファエル･ベニテスはどんな気持ちでいるでしょうか？

個人的な見解ですが、彼はひどく落胆していると思います。チャンピオンズリーグは彼が名を知らしめた大会であり、彼のチームは常にそこで卓越していました。過去5年間で4度リバプールは大会において恐るべき戦闘集団となり、彼らの手持ちの選手たちを考えて人々が予想したよりも、実際良くやっていました。

ノックアウトステージ進出を逃したのは、非常に大きな落胆です。しかしベニテスは、リバプールは単純に勝ち進むに値するだけの力を発揮しなかったということを知っているでしょうし、そのことは彼を他の何よりも傷つけているでしょう。
リバプールがリヨン戦で終了間際にゴールを許したことについて、一部非難がされています。あれは決定的でしたが、不運だったというストーリーを持っているチームは他にも大勢あります。事実として、リバプールは今シーズン自分たちに幸運をもたらしていないということです。

チャンピオンズリーグでの失敗は、ベニテスとリバプールが今シーズンどれだけ落ち込んでいるかのものさしになりますか？

彼らがどれほど早く滑り落ちてしまっているかのものさしになります。3月にはレアル･マドリーをアグリゲートスコア5-0で下し、チェルシーに敗退させられはしたものの、スタンフォード･ブリッジでの4-4の引き分けは記憶に残る試合となり、リバプールの敗退は不運でした。

今シーズンはまったく話が違います。グループステージ抽選の時には、一部の人々はグループ突破は簡単だろうと考えていました。しかしリヨンとフィオレンティーナは優れたチームです。リバプールは勝ち上がるためには常にベストに近い出来を要求され、グループステージの2ヶ月間に凝縮した彼らの不調のために、彼ら自身が勝ち抜けのチャンスを潰してしまったのです。最も批判すべきは、リバプールがアンフィールドでのグループ最終戦を、何の目的もない試合としてしまったことです。それはとんでもないことです。

批判すべきは誰でしょうか？

それは多くの部門が共有しなくてはならないことです。2005年にリバプールがヨーロピアンカップを獲得した時は、あるいは監督が、大勢の選手たちと同様に非常に大きな賞賛を受けたかもしれません。現実としては、もっと広い集団的努力がなくてはトロフィーというものは獲得できないんです。選手、監督、オーナー、そしてファン、それら全てがクラブのために一つになってトロフィーを勝ち取る･･･そのうちの一つだけでは決してできるものではありません。

同じ理由で、物事が上手く行っていない時には、その非難は共有されなくてはなりません。ベニテスは自分自身を見つめなくてはならないでしょう･･･彼の何が正しく、何が間違っていたかを。最も大きな落胆の一つは、昨夜のハンガリーでのスターティングイレブンを見た時、本物のゴールへの脅威を作ることのできる選手が3人しかいなかったことです。ダビド･エンゴグ、この競技で成長中の若い選手、スティーブン･ジェラード、負傷からまだ回復中の選手、そしてディルク･カイト、今シーズンは本来の調子から嘆かわしいほど遠い選手、その3人でした。

ベニテスはこの夏にリバプールの攻撃オプションをなんとかするべきでしたが、彼はそれをしませんでした。

ベニテスは、グレン･ジョンソンに￡18mとアルベルト･アクイラーニに￡20mを使うよりも、他のところを補強すべきだったんでしょうか？

ジョンソンが大きな成功であったことには、誰も異論はないでしょう。彼は加入以来非常に良いプレーをしており、彼の前への推進力はチームに違いを作っています。彼は最初に加入した時に比べて、今は守備もはるかに良くなりました。ですから、彼は良い獲得だったと結論づけて間違いありません。

アクイラーニのことは、私たちはまだ十分に見られていません。昨夜のデブレツェニ戦では、彼は30秒しか使われませんでした。11月の終わりを迎えるという時に夏に大型補強した2人のうちの1人がほとんど出場できていないというのは、大きな問題です。ベニテスはこれらの獲得に関して、自分自身を見つめ直さなくてはならないでしょう。アクイラーニについてのギャンブルはまだ払い戻されていないからです。やがては払い戻されるかもしれませんが、アロンソが出て行った穴は依然として残されています。

オーナーに向けられるべき非難はどの程度ですか？

オーナーに向けられている批判は、これまでと同様に今も妥当なものです。トム･ヒックスとジョージ･ジレット･ジュニアは、チャンピオンズリーグの勝ち抜けとプレミアリーグのタイトルチャレンジに関して、彼らのチームに最高のチャンスを与えることをして来てはいません。過去3回の移籍市場での差引支出額はごくわずかで、リバプールのような規模のクラブにとって十分なものではありません。オーナーたちはリーダーシップを提供せず、資金を提供せず、今シーズンのこのクラブのスランプについて、自分自身の責任を見つめ直す必要があります。彼らは、自分たちに何ができたか、クラブへのサポートを果たすためには何をすべきだったか、それを自分に問う必要があります。

昨夜の出来事は、オーナーたちの立場に影響を及ぼすでしょうか？

ファンたちのオーナーに対する不信と嫌悪がこれほどの中、一部のリバプールファンには、昨夜の敗退でオーナーたちの退場が少し早まったと見る向きがあるでしょう。もしも結果としてこのクラブの価値が以前よりもある程度下がったならば、その時にはおそらく可能性のある投資家が次々と現れて来るでしょう。

ファンは新しい投資家ではなく、新しいオーナーを望んでいます。彼らはクラブのトップの政権交代を望んでいます。もしも昨夜の敗退が彼らのクラブ売却をはかどらせるなら、それはこのクラブがここから回復するために必要な薬と見なされるかもしれません。

ベニテスは、1月の移籍市場で攻撃に取り掛かるでしょうか？

ベニテスがそれをやるだけの本格的な資金を持っているとしたら、それはとてつもない驚きです。とにかく選手を獲得するために億単位の資金がないクラブですから、それができるのはほとんど不可能です。特に昨夜のようなことがあり、何も変わってはいません。ベニテスは彼の資金は自らひねり出さなくてはならず、売却できる選手があまりいないという現状では、それは難しいでしょう。リバプールには少なくとも、もう1人フォワードが必要です。

ライアン･バベルがオランダの雑誌に発言したコメントは、一部の人々が考えているよりはほんの少し古いものでした･･･しかしアンフィールドには、彼がいなくなって非常に残念に思う人間は誰もいないでしょう。彼は大きな評判と共に加入した選手ですが、それを正しかったと思わせるようなことをほとんど何もしていません。彼は天賦の才の持ち主のようですが、その使い方を知らないようです。時に彼のタッチは嘆かわしいもので、彼のプレーはお粗末なものでした。自分のチームメートや自分の監督、自分のクラブに関してあのようにずけずけと公言するような選手ならば、その時点で道を分かつことは避けられなくなります。リバプールファンが今バベルに対して持つ唯一の望みは、彼がピッチの上でチームのために何をしてくれるかではなく、彼がクラブにどれだけの移籍資金をもたらしてくれるかでしょう。

リバプールのマネージング･ディレクター、クリスティアン･パースローは今のところベニテスを支持していますが、もしもリバプールが来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権を逃すようなことがあれば、その支持は消滅するでしょうか？

もしもそうなれば、彼の頭から離れないクエスチョンマークはさらに大きくなるでしょう。しかし、今シーズンの敗退を越えたもっと大きな視点がなくてはなりません。ベニテスがリバプールにやって来る以前は、このクラブはチャンピオンズリーグの競争相手ではなく、彼らは大会で勝ち上がることもほとんどなく、優勝候補として脅威になることは全くありませんでした。

それと同時に、ベニテスは今回の敗退に関しては大きな非難を受けなくてはなりません。このクラブは今現在は非常に賢明なアプローチをしており、今回のことをより大きな視点で見た一部として、偶発的事故として受け止める意思です。彼らはリバプールがトップ4にいなければならないことを知っており、ベニテスはそれを知っています。来シーズンチャンピオンズリーグに参加できないということは、彼の地位に巨大なプレッシャーをもたらすでしょう･･･それは、ヨーロッパ最大のクラブの一つではつきもののことです。

-----------------------------------
このCL敗退がオーナーを変える薬になってくれるとしたら、どんな苦い薬でも飲み干せます。せめてそうなって欲しいなあ･･･。そしてリーグ戦で来季の出場権を獲得するのは、言うまでもなく必須命題です。たとえ負傷者が10人出ようが20人出ようが、冬にビタ1文出してもらえなくても、ラファと選手たちはきっちりその仕事をやってくれると思います。
バベルの件ですが、バレット記者は相当怒っている様子です。現地フォーラムでも怒っているファンたちが多いです。正直、彼の発言と、その記事を紹介して良かったのだろうかということにモンモンとしていました。コメントしてくださった皆さん、意見はそれぞれ違ってもバベルへの期待やチームへの愛情を感じさせてくれるものばかりで、率直なご意見を寄せていただいて本当にありがとうございました。大感謝です。現地フォーラムではこんな声もありました。

「聞いてくれ、僕はバベルを彼がアヤックスで上がって来る時からずっと見て来た。そして、彼がどういうタイプの選手か知っている。彼はとてもプロフェッショナルで、深い信仰心を持ち、尊敬すべき立派な奴だ。彼のことをどうしようもないやつだという人は、単純に間違っている。僕は彼が留まるべきだとは言わないし、ベニテスが間違っていると大胆に示唆するつもりもない。しかし、彼の性格を攻撃する人たちだけは気になるんだ。『怠け者のクソッタレ』やその他のひどい言葉を彼に投げつけるのは、彼が言ったりやったりしたことから来たものだ。僕は君たちの意見は尊重するけど、君たちは間違っている。皆自分の思うことを言えばいい。バベルはいい奴で、彼はここの人たちが彼に投げつけている罵倒をされるような人間じゃない。」