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FIELDS OF ANFIELD ROAD

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クリスマスということもあってか新しいニュースもありませんので、ちょっと古いんですが、2週間ほど前にトーレスのオフィシャルサイトに掲載された、タイムズ紙によるトーレスとダルグリッシュのインタビュー記事をご紹介します。公式HPのインタビューで「対面できてうれしかった」と彼が語っていたものです。
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タイムズ紙による、リバプールの過去と現在、ダルグリッシュとトーレスの独占インタビュー。


スペイン人ストライカーが、Gabriele MarcottiとGuillem Balague によるタイムズ紙のインタビューで、リバプールのレジェンド、ケニー・ダルグリッシュと対面した。トーレスと「キング・ケニー」は彼らの経験、考えを分かち合い、この美しい競技についても少し話し合った。

比較はなし、である。The Kidは非常にはっきりとそう言った。彼はキングと比較されることを望んでいない。「今のところ、僕はまだ何もしていない。」フェルナンド・トーレスは語る。「実を言えば、ここにいるのも恥ずかしいくらいなんだよ。頼むから、比較はなしで。」
では、「キング・ケニー」の方はどうだろう?人生半ばにして、人が彼をレジェンドと呼び、フットボールの神のごとく扱うことを、彼はどう感じているのだろうか?そして自分の後継者と目される人物と対面した時、彼は何をするのだろうか?

「誰か他の人間の心の中で、自分がレジェンドだというだけのことだよ。」ケニー・ダルグリッシュは語る。「自分の心の中で自分はレジェンドではない、そうである限り何の問題もない。フェルナンドに対してもそうだが、人は分類し、比較したいがためにそういう風に区別したがるんだ。しかし最も重要なのは、自分がただありのままであることだ。」

言うは易し、行うは難し、である。比較を思い描かないでいることは難しい。何かを評価するためには、背景や基準が必要だ。そしてこういう才能あふれる二人の男と共にテーブルに座ったならば、彼らの一致点に気づかないわけにはいかない。

二人が共にストライカーであるというばかりではなく、彼らは共に魚座であり、共にリバプールの記録となる移籍金で加入し、共にKOPを人間の興奮したミツバチの巣に変える才能を持ち合わせている。さらに加えて、24時間足らず前にトーレスはボルトン・ワンダラーズとの対戦で、1978年のヨーロピアンカップ決勝の対FCブラージュ戦でダルグリッシュが決めた、あの有名な決勝点に奇妙なほど類似した得点を決めている。同じ時間帯、同じ右足の柔らかいタッチ、同じようにゴールラインを越すちょうど手前で軽く弾み、同じようにゴールキーパーはノーチャンスだった。

この二人の男の間には明らかに赤い糸がある・・・そしてそれがクラブというものなのだ。選手たちは出入りを繰り返すが、シャツと継続性は受け継がれる。トーレスはジェイミー・キャラガーと共にプレーし、キャラガーはロビー・ファウラーと共にプレーし、ファウラーはジョン・バーンズと、バーンズはイアン・ラッシュと、ラッシュはダルグリッシュと共にプレーした。そしてダルグリッシュはエムリン・ヒューズと共にプレーし、その彼はイアン・セントジョンとプレーし、その彼はロジャー・ハントとプレーし、その彼はロニー・モーランとプレーし、その彼は・・・そう、これを続けて行けば最後には、1892年にリバプールの歴史上初めてのゴールを決めた男、マルコム・マクヴィーンまで行き着くことができる。

その意味では、トーレスとダルグリッシュは同じ115年来の伝統を受け継ぐ聖火ランナーである。彼らは比較されることに苛立ちを感じるかもしれない・・・控えめさや礼儀正しさを通していても・・・しかし、彼らはその責任を理解している。「我々は夢を成し遂げる人間なんだ。」ダルグリッシュは語る。「サポーター自身はプレーできないために、決して彼ら自身でかなえることの出来ない夢だ。だから彼らは我々を通じて生きている。」

「しかし、我々も我々自身では実現できない夢を持っているよ。」彼はトーレスの大きく見開かれた目を一瞥した後に、そう付け加える。「私はいつもKOPスタンドに立ちたいと思っていた。しかし決してそこには行けなかったよ。空っぽの時だけ、私はそこに立つことが出来た。面白いことに、私の息子はKOPに立つことを経験したよ。私は彼をそこに連れて行って面倒を見てくれる人間に預け、彼は試合の間中そこに立っていた。彼は私には決して実現できない夢をかなえたわけだ。」

その言葉は我々の心をよぎる。ダルグリッシュのような男が、土曜の午後に彼のチームをサポートしているスタンドの中に立つというごく平凡なことが出来ない、ということについて考える。そして、トーレスがほとんど切ない調子で突然しゃべり始めた。「僕もKOPスタンドに立った。でもやはり、空っぽの時にだった。そして自分が引退する時までにはぜひそこに立ちたいと思っているんだけど、僕もやっぱりKOPスタンドに立つのは無理なのかも知れないね。」

彼の笑顔には戸惑いがあるが、いたずらっ気も混じっている。「比較はなし」のルール?それはどこかに行ってしまったようだ。しかし彼は、自分が今日なぜここに来るよう依頼を受けたか、知りすぎるほど良く知っている。

二人の男は、自分たちが夢の中で生きているサポーターであるという事実を共有している。その点に関しては、トーレスの方がより完璧だろう。彼は自分が子供の頃からサポートしていたアトレティコ・マドリーでプレーしていたが、ダルグリッシュの方は、彼の少年時代のアイドルであるレンジャースでは一度もプレーしなかった。事実、伝えるところによると、ある日Jock Steinのアシスタントが彼をセルティックに加入させるために彼の家のドアをノックし、ダルグリッシュは夢中になって彼の寝室の壁からレンジャースのポスターを全て剥ぎ取ったそうである。

フットボールが職業となる時には、クラブへの忠誠心は窓から飛び去ってしまう。「プレーしながら、一人のサポーターであるというのは難しいものがある。」ダルグリッシュは言う。「例外は自分の国の代表だ。私がスコットランド代表の試合を心から楽しめる理由はそれだよ。私は他の誰もと同じだ。一人のファンでいられる。」

トーレスの顔に目を向け、彼が何を考えているか推測してみよう。代表チーム。祖国を応援する全ての人々。そして、彼の国では物事はちょっと違っている。

「スペインでは、クラブの方がはるかに重要なんだ。」彼は言う。「僕がアトレティコにいた時は、代表チームでベルナベウ(レアル・マドリーのホーム)へ行った時はいつであろうと、ファンは僕にブーイングをしたよ。それは僕がアトレティコから来たからだった。これは大きな問題なんだ。僕たち全員が同じシャツを着ているのに、代表チームで練習する時は、レアル・マドリーの選手たちは固まって、バレンシアの選手たちは固まって、バルセロナの選手たちは固まっている。」

トーレスの声は次第に小さく消えていった。ダルグリッシュが口を挟んだ。「いいかい、ドレッシングルームの雰囲気が良くないチームが成功することは決してない。つまり、一緒に飲みに行く必要はないが、ドレッシングルームというのは非常に重要だ。」

「Vestuario!」ダルグリッシュは強調のためにスペイン語の言葉を繰り返した。

「私たちはここリバプールでは、すばらしいドレッシングルームの雰囲気があったよ。我々は本当に親しかった。我々のうちの6人はいまだに親しい間柄だ。ゴルフをしたり、妻を伴って一緒に出かけたり、とても親しく付き合っている。これは特別なことだ。最近ではあまりないだろう?20年もの時がたっても、リバプールで6人がまとまっているんだからね。これはある事実を物語っている。フットボールは変わった。リバプールのスターティングイレブンのうち、8人が今は英国以外の出身だ。物事には、その時にしか存在し得ないという物もある。世界は進み続けているよ。」

フットボールに戻ろう。スーパースターが難問を抱える時とは、何が起こるのだろうか?何もかもがうまく行かない、その時に何が起こるのか?おそらく人は陳腐な決まり文句、「基本に立ち返れ」という言葉や、チームメートの意見に従うといったことを予想するだろう。しかしそれはNOだ。彼らは同じ軽蔑を持って答える。それは、責任の重みを背負うことに慣れている人間の憤りである。「僕はいつでもボールが欲しい。自分がどれほどひどいプレーをしても、それは問題じゃない。」トーレスは言う。「立て続けに10回のチャンスを外したとしても、それでも僕はボールを欲しがるだろう。僕がピッチにいるのはそのためなんだからね。隠れるつもりはない。」

ダルグリッシュは語る。「もちろん、私たちはボールを探してそれを求め続ける。それを続けなくてはならないんだ。いいかい、フェルナンドのポジションというのは、得点を決めるよりも外す数の方が多いんだ。しかし決めたゴールが重要なのではなく、外したゴールが重要だ。ミスをすればするほど、次のゴールに近づくことが出来る。そういう考え方をしなくてはならない。そしてそういうメンタリティを持つ勇気がなければ、このレベルでプレーを続けることは出来ないだろう。」

さらに彼ら共通点を探そう。そして我々はそれを見つける。「僕はアトレティコの試合を見るけど、それは僕のチームだからだ。」トーレスは語る。「しかしそれは別として、僕はフットボールをたくさん見るのは好きじゃないんだよ。たくさん見ることは見るけど、それは楽しみのために見ているわけじゃない。選手たちや相手チームのことを知らなくてはならないからなんだ。勉強して、彼らと対戦する準備をする必要があるからね。」

ダルグリッシュの顔は輝いた。「私もフェルナンドと良く似ていたよ。」彼は語る。「対戦する相手を知るために、私も良く見たものだ。ゴールキーパーの癖、ディフェンダーの特徴、そういう学べるものを見るためにね。
その後、私は誰かサインが欲しい選手はいないか、そういうものを見たよ。しかし今は、そうだね、少年の頃のように私の心を掴みはしないね。フットボールを見るときに本当に集中することはなくなったよ。」

50年あまりに渡ってこの競技を学び続けるということ・・・一人のファンとして、選手として、そして監督として・・・今はダルグリッシュはくつろいで、この競技をただの一つの試合として見ることに満足している。そしておそらく、彼がこのトーレスとの時間を楽しんでいるように見える理由はそれなのだろう。このスペイン人選手の人なつこさと謙虚さ、そして自信が彼に喜びを与えている。そして、このスポーツから永遠に離れて7年が経過した後、ほんの数時間とはいえ再び繋がったことを楽しく感じている。

トーレスについては、彼の態度の中には、マスターと対面する弟子という以上のものがある。彼はここに来る前は戸惑っていたのかもしれないが、今はここで出会えた喜びで顔を赤く染めている。

「僕は今日多くのことを学んだよ。」トーレスは帰り際にこう言った。「ケニーがこんなに親しみやすい雰囲気を作ってくれたことがうれしいよ。彼はごく普通の人だ。彼は自分のことをレジェンドだとは感じないと言った。でも事実として彼はレジェンドなんだし、彼の『普通さ』が僕にとってこんなにショッキングだった理由はそれなんだ。自分は彼のレベルの足元にも及ばない、僕はそう言ったけど、君たち(タイムズ紙)は僕をここにひっぱって来た。でも、僕は彼とともにこの時間を過ごせたことを、とても誇りに思うよ。そして、彼が僕と話すことに時間を取ってくれたことを名誉に思う。彼のような人と会うことは僕に、もっと懸命に努力を続けて、たぶんいつかは彼のレベルまで達したいというハングリーさを一層かきたててくれる。」

彼らはお互いを見つめ合う。ダルグリッシュは、彼が自分の知恵を授ける番だということを知っている。「今日では、フットボーラーたちは彼らの稼ぐ大金やそのライフスタイルのために非難されている。」彼は語る。「しかしフェルナンドは、彼の得ている全てに感謝をしているようだね。」

「フェルナンド、ここは特別なファンがいる特別なクラブだ。」ダルグリッシュは今はこの若者に向かって直接語っている。彼らは二人だけの部屋にいた方が良いのかもしれない。「彼らは、自分たちのシャツを着ることを愛する人間を愛している。しかし彼らは愚かではない。何が本当で、何が見せかけか、チームバッジにキスをするようなことを全て見てよくわかっている。彼らはピッチの上にいる人間との一体感を愛する。そして、彼らは明らかに、本当にいともたやすく君との一体感を持つだろうと私は思うよ。」

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こういうインタビューはいいですね。できればキング・ケニーとトーレスの対談形式だともっと楽しかったんですが・・・。
ダルグリッシュが、レンジャーズファンにも関わらずセルティックでプレーしたという話は始めて聞きました。彼に比べれば、愛するアトレティコでプレーし、今はファンだったリバプールでプレーしているトーレスは恵まれていますね。
ダルグリッシュのFCブラージュ戦の決勝ゴールというのは見たことはないんですが、そんなにトーレスのボルトン戦のゴールと似ているんでしょうか、見てみたい・・・。先日のポーツマス戦後のトーレスのポーズがまた「シャンクリーにそっくり!」とちょっと話題になったりしています。これも不思議な赤い糸なのか?
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無題

すごい長文の翻訳お疲れ様です。そしてありがとうございます。「シャツと伝統は受け継がれる」改めて偉大なクラブだなぁと感じました。当然、自分は10年後もレッズファンなので(笑)キャプテンやキャラガーの後継者の姿を見る事ができるでしょうが、楽しみなような寂しいような何だか複雑な気持ちです。背番号の伝統も育てて欲しいのですが(9番以外の)英国はそんなにこだわり無いみたいですね。どっかのチームのようにDFが10番とかは勘弁してほしいですが(笑)

無題

読んでいただいてお疲れ様です(笑)。私もガーミーさんと全く同じ気持ちになりました。選手の寿命は本当に短いですねえ・・・。
番号は本当にこだわりないですよね。二桁の番号も変えないでそのままだし、10番をボロニンとか(笑)。いえ、彼に不満はないですよ。今日がんばれ~!
そういえば何であのチームはベルカンプの10番を彼が・・・?

無題

私からも、いつも丁寧な翻訳ありがとうございます。赤い糸のくだりには、鳥肌がたちました。それこそがクラブの伝統だと思いました。レッズの良いところって、離れていく選手たちも、ずーっとレッズファンでいてくれるんですよね。ハマンとかルイガルとか…今回のダルグリッシュさんのアドバイスは、トーレスにとってすごい経験になったと思います。

追伸 フニクラ様
今年もお疲れさまでした。毎日チェックさせていただき、とても感謝してます。来年もどうぞ宜しくお願いします。

良いお年を。

無題

暖かいコメントありがとうございます^^。こちらこそ読んでいただいて感謝しています。
去っていった選手たちはたくさんいますが、レッズのことを悪く言う選手はいないですね。ダルグリッシュの言う「良いドレッシングルーム」が、今も、そしてこれからもずっと受け継がれていくことを願っています。

こちらこそ来年もよろしくお願いします。良いお年をお迎えください。
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