先月の香港ツアーの時、香港のメディアTitan Sportsのチーフ・リポーターLinが、ラファに2時間に渡るインタビューをして4つの記事を書きました。その中でCL決勝に関する記事を、リバプールファンサイトのフォーラムでファンが中国語から英語に翻訳してくれました。興味深い内容だったので、それをさらに日本語に訳してみました。
※メモにはA、B、Cのプランが書かれています。横のアルファベットはK(カイト)、C(クラウチ)、B(ベラミー)を示していると思われます。
中国語の元記事はこちらから。--------------------------------------------------------------------
2ヶ月前のチャンピオンズリーグ決勝において、リバプールは試合をコントロールしながら敗れた。リバプールはイスタンブール以来あらゆるポジションを強化し、他方ミランはあらゆるポジションにおいて2年前と同じチームだった。思いもよらないことに、リバプールは成功確実であるべきものを失った。
リバプール監督、ラファ・ベニテスは未だにその敗北を飲み込むことができない。過去2ヶ月間、彼はほとんど眠れなかった。私がいったんCL決勝の話題を始めると、ボスはまるで永遠の秘密をとうとう話し始めたかのように、その言葉はとどまるところがなかった。私は、自分がこの微妙な話題を持ち出した初めての人間なのかといぶかったほどである。
CL決勝では、ゼンデンが一番の弱点となっていた。なぜ彼だったのか?リバプールにはもっと優れた左のウィンガーがいなかったのか?ラファは肩をすくめた。
「私たちには3つの選択肢しかありませんでした。ゼンデン、キューウェル、そしてマルク・ゴンザレスです。ゴンザレスにはスピードがありますが経験が不足しており、コンディションもそれまで万全とは言えませんでした。キューウェルをスタートから使いたかったんですが、決勝までに彼が何回ピッチで走っていたかを考えると、彼の名前をサブに入れられるだけでも私は十分満足でした。そうなると誰が残ります?」
「私が言いたいのは」ラファは続ける。「カップ戦の決勝というものは経験が大きく物を言います。ゼンデンは経験豊かな選手で、クラブや国の代表で何度もビッグマッチでプレーをしています。私はそういう要素を考慮に入れなくてはなりません。監督として、全てを見通すことは出来ませんよ。前半の終了間際にインザーギがあんなゴールを決めると、誰が予想できましたか?」
多くの人々が同じ疑問を持つ。クラウチはあの大会で6ゴールを上げており、それでも決勝はベンチスタートだった。なぜ彼を残り12分という遅い時間まで投入しなかったのか?
ラファは大きく息を吸った。「私たちには決勝を前にして3つのプランがありました。プランAは、カイトでスタートしジェラードがトップ下でプレーする。プランBは、クラウチでスタートしてミランに対して空中戦の脅威を使う。プランCは、ベラミーでスタートしてディフェンダーの背後を狙い、必要とあればカウンターアタックを使う。カイトは明らかに、私たちのストライカーの中で最もオールラウンドな選手です。ヘディングができ、ディフェンダーの背後を突く事ができ、彼の運動量は信じられないほどで、深い位置に下がってディフェンスすることも出来るのです。私は成り行きを見守り、それからもし得点ができないならば、攻撃に広がりを加えるためにクラウチを入れたいと考えていました。しかしミランが前半の終了間際に得点し、私たちのプランを完全に壊したんです。」
「私たちはできるだけ早く1点を返す必要がありました。後半最初からクラウチを入れるべきだったのか?私は躊躇していました。前半に私たちは非常に良く試合をコントロールし、私たちの固いディフェンスによって、ミランはほとんど私たちのペナルティボックスで脅威となってはいませんでした。ジェラードはトップ下で良いプレーをし、私たちは何度もチャンスを作っており、必要としているものは最後に決めることだけでした。ですから私は決断を待ったんです。2年前とは違っていました。あの時の私たちは即座の決断を必要としており、ハマンとスミチェルを入れるギャンブルが必要でした。そう、それがフットボールです。あの時私たちは6分間で3得点を上げ、今回は私たちはゴールを見出すことさえできませんでした。」
ストライカーの話は別としても、あの夜ラファが選んだウィンガーも疑問を呼び起こす。なぜアルベロアを左サイドバックに置いてリーセをハーフに上げなかったのか?ラファはこう説明する。
「攻撃というのはディフェンスの別の形です。ミランは通常、サイドバックから攻撃の起点を作ります。オッドとヤンクロフスキが中盤のセードルフやカカにフィードし、インザーギは終始ディフェンダーの背後を狙っています。私がアロンソとマスチェラーノにカカとセードルフを見るように指示している一方で、彼らはガットゥーゾとアンブロジーニでジェラードをケアしていました。中盤は非常に窮屈な状態で、だからこそ私はサイドで攻撃的にプレーすることを望んだんです。リーセはドリブルができませんし、ボールを持って攻撃するのに最適な人間ではありません。彼の前にウィンガーがいて、攻撃の時に彼がオーバーラップを仕掛けられてこそ真価が発揮できるんです。」
そしてマスチェラーノの神話である。彼は完全にカカを封じ、このアルゼンチン人が下げられた時にミランは追加点を上げた。ラファは言う。
「クラウチを入れる時、私はバランスを考慮しなくてはなりませんでした。私たちは攻撃をしなくてはならず、もしもマスチェラーノを下げないとすれば、他に誰を下げるべきだったと思いますか?」
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ラファが率直にあの時の状況を語っており、おもしろい記事でした。香港のスポーツジャーナリストの突っ込みは厳しいですね。
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