Balon:リバプールはベルナベウで1-0で勝利しましたが、あなたは沈黙した試合でした・・・
Torres:僕は怪我をしてしまったけど、サンチャゴ・ベルナベウで勝利したチームとして試合を終えられたよ・・・そして、初勝利をもぎ取るのにチャンピオンズリーグの試合よりも良い時はないよ!僕は、あのスタジアムで試合をして幸運だったことは今までないんだ。今回も開始1分で怪我をしてしまった。プレーへの熱望とチームを助けたいという気持ちのおかげで、なんとかプレーを続けたよ。
Balon:そして、マージーサイドではあなたはとうとうイケル・カシージャスの壁を超す方法を見つけましたね。
Torres:あのゴールは、サンチャゴ・ベルナベウで得点できなかったことから立ち直るための助けになったね。イケルはすばらしいキーパーで、レアル・マドリーをあれ以上のきつい敗戦から救ったよ。
Balon:カシージャスは、レアル・マドリーの中でリバプールの同じナンバーの選手よりも良かった唯一の選手でしたか?
Torres:いや、僕はペペ・レイナがイケルと同じぐらい優れた選手であることに、何の疑いも抱いていないからね。たとえスペイン代表チームではイケルの控えであっても、レイナはワールドクラスのゴールキーパーだ。彼はイングランドでは高く評価されていて、まさしく受けるに値する賞賛を得ている。同じことはイケルにも言えるかもしれないけどね。
Balon:レアル・マドリーを打ち負かして、誰か特定の人のことは考えましたか?
Torres:大勢の人たちのことを・・・例えば、アトレティコ・マドリーのシャツを着てサンチャゴ・ベルナベウとアンフィールドの両方にいたファンたち皆のことをね。僕はいつでも自分はアトレティコファンだと思っているし、それを口にすることはとても誇らしい気持ちにさせてくれる。
Balon:あなたはファンたちの揺らぐことのないお気に入りです。ビセンテ・カルデロン・スタジアムにいた時よりも、アンフィールドでの方がもっと愛されているようですね?
Torres:評価の仕方が違うんだよ。ビセンテ・カルデロンでは僕はファンの愛情を勝ち取る必要はなかった。僕はユースチームを経てファーストチームに昇格し、彼らは皆僕が小さな時からアトレティコのシャツを守っていたことを知っていた。リバプールでは、僕は彼らの賞賛とサポートを勝ち取らなくてはならなかった。最初の日から僕にとっては全てが上手く行ったおかげで、それを勝ち取ることができたよ。
Balon:あなたは自分のオリジナルチャントも持っていますね・・・
Torres:うん、それは僕がアトレティコにいた時よりも、ここでの方がもっと重要なんだという気持ちにさせてくれる・・・おそらくリバプールがもっと大きなクラブであるという事実のために、もっと重要性を感じるのかもしれない。
Balon:あなたは自分がさらに良い選手になったと思っていますか?
Torres:僕は、若い選手が成長すると期待されるのと同じ方法で成長して来た。成長を願って毎日欠かさず練習をするのと同時に、経験は重要だ。僕にはまだまだ進歩の余地があるし、今よりももっと優れた選手になれる。
Balon:プレミアリーグでプレーすることが、その力になりますか?
Torres:うん、ヨーロッパで最強の国内リーグだからね。数年前はラ・リーガが最強リーグだったけど、プレミアリーグは発展し、今はより楽しめるフットボールのブランドを提供している。試合はスペインよりも遥かに速いペースでプレーされ、ダイナミックで、生み出されるチャンスの数も多い。そして選手たちは遥かにルールを尊重しているね。
Balon:名高いイングランドの「フェアプレー」ですね!
Torres:選手たちはレフェリーをごまかそうとはせず、それは試合の流れを良くしている。フットボーラーたちも、わずかなアドバンテージを稼ごうという意図でルールを曲げようとしたりはしない。強烈なチャレンジは飛び込んでくるけど、そういう選手たちはいつでもボールに行っている。チャレンジを受けた選手もすぐにぱっと立ち上がるよ。たとえそれで痛んでいてもね。選手たちが一つやらないことは、チームメートがレフェリーを取り囲めるように転がり回ることだ。
Balon:・・・では、あなたはピッチの上でどう振舞っていますか?
Torres:良い振る舞いをしようと努力しているよ。レフェリーをごまかすのが、この競技のためにはいいことじゃないというのを見てきたからね。それでもまだ、レフェリーに文句を言ったりという変な間違いをしてしまうんだけどね。後でテレビで自分の姿を見て、「僕は何を考えてたんだ?」と結局は自分に問いかけているよ。プロフェッショナルのフットボーラーは率先して手本にならなくてはいけないんだし、例え脈拍が200以上打っていても冷静でいようとしなくてはなならない。倒されても、立ち上がって埃を払い、もう一度プレーを始めるんだ。
Balon:そしてまた倒されたら?
Torres:また立ち上がる。必要なら何度でも、何度でも、文句を言わずに強烈なチャレンジに対抗できるんだということを見せれば、ライバルファンの尊敬を勝ち取れるんだ。これが、プレミアリーグがすばらしいリーグであることの理由だよ。そして競争の激しいリーグでもあり、それはチャンピオンズリーグの中でのチームの好調ぶりを見るだけでわかるはずだ。
Balon:レアル・マドリーに聞くだけでもですね!
Torres:僕たちは、プレミアリーグの試合でプレーするように彼らと戦った。彼らはあの試合の速さについてこれなかった。二つのチームの間には大きな隔たりがあったよ。
Balon:準決勝では、バルセロナとバイエルン・ミュンヘンのどちらと対戦したいですか?
Torres: バルセロナとはチャンピオンズリーグの決勝で当たりたかったよ。でもそれは不可能だね。バルセロナは間違いなく、準決勝に勝ち進むと思う・・・そして僕たちは見守るだけだ。もしも僕たちが最終的にベスト4で対戦したら・・・その時は最強のチームが勝つかもしれない。
Balon:メッシはバルセロナのスターです。彼はプレミアリーグでやれるでしょうか?
Torres:スペインとは全くプレーのやり方が違うけど、もしもメッシがイングランドでプレーしたら、彼は間違いなくもっと優れた選手になるだろう。
Balon:その理由は?
Torres:彼は同じ選手だろうけど、その「速さ」や、スペインでは相手から許されているようなボールを持つ時間を使うことはできないだろう。彼はもっとダイレクトにならなくてはいけないだろうね。それがここで要求されるフットボールなんだ。
Balon:それでは、もしもあなたがメッシとクリスティアーノ・ロナウドのどちらか一人を選ばなくてはならないとしたら・・・
Torres:彼らは2人とも違う選手だけど、クリスティアーノ・ロナウドはピッチの上では悪魔だよ。彼が相手のゴールに向かってボールを運ぶ、そのやり方は驚くべきものだ。もしも彼がスペインでプレーしていたら、もっとボールを持つ時間があるだろうし、彼の個人技がさらに目立つのは間違いないね。
Balon:ロナウドはラ・リーガの中でやって行けますか?
Torres:うん、問題なくね。でもあそこでプレーすることで、彼にとってもっといいことは何もないと思う。イングランドでのプレーが完璧に彼に合っているんだからね。
Balon:レアル・マドリーはほとんど1年間に渡って彼に接触を続けています。これは神の思し召しによる結婚では?
Torres:現時点でのバルセロナのプレーぶりを見れば、どの選手を見てもあれ以上彼らのプレーを順応させることはできないほどだ。でもフットボールは1シーズンが進むごとに変わるからね。それでも僕は、当面の間はクリスティアーノ・ロナウドがプレミアリーグ以外の場所でプレーするとは思えない。マンチェスター・ユナイテッドがどれほど良いプレーをしているか、それも考慮に入れなくてはならないと思う。
Balon:マンチェスター・ユナイテッドとバルセロナ、それがヨーロッパの最強ですか?
Torres:うん、彼ら両方とも最強のフットボールをしているからね。マンチェスター・ユナイテッドの選手層の厚さはとても印象的だ。彼らの選手たちが離脱した時に、それは明らかになるね。テベス、ベルバトフ、ギグスのようなフットボーラーがベンチにいるんだよ。それでも僕は、バルセロナの方がマンチェスター・ユナイテッドを上回ると思うけどね。
Balon:なぜですか?
Torres:マンチェスター・ユナイテッドは、彼らがボールをポゼッションできない時はものすごく苦戦するんだ。バルセロナの方がそれに関してはもっと能力があるし、彼ら2チームがぶつかったら、疑問の余地なくバルセロナの方が大きなポゼッションを獲るだろう。そしてそれはマンチェスター・ユナイテッドを苦しめる。
Balon:私たちはメッシとクリスティアーノ・ロナウドについて話をしました。アトレティコのクン・アグエロについてはどうでしょうか?
Torres:うん、彼は一流だ。アトレティコ・マドリーは彼のような選手がクラブにいてラッキーだけど、彼らは彼に気を配らなくてはならないね。
Balon:それはどういう意味ですか?
Torres:チームは選手と同じだけのスピードで発展と成長を続ける必要があるんだ。そうでなければ、やがてはそのフットボーラーはこのクラブではこれ以上自分は成長できないと感じて、その結果移籍しなくてはならなくなってしまう。
Balon:そういう状況になるのを避けるためには、クラブはどうしたらいいんでしょうか?
Torres:アトレティコ・マドリーは完璧なチームを築き上げる必要がある。クン・アグエロと同じプレーのレベルにね。もしも彼らにそれができなかったら、選手を移籍させる以外にはない。
Balon:あなたと同じようなことが起こるんですね。あなたは自分の将来をどこに見ていますか?
Torres:僕は、これから長いシーズンをリバプールに留まりたいとすごく願っているよ。ここをホームだと感じている。まだ今シーズンに加えて僕にはあと4年契約が残っている。このクラブは僕にとってすばらしい所で、僕はファンに対して多くのものを負っているんだ。彼らは僕が彼らの一員であるかのうように受け入れてくれた。僕を、彼らがジェラードやキャラガーに対するのと同じように扱ってくれるんだよ・・・信じられないよ!僕は彼らの暖かさに、プレミアリーグのタイトルを獲得することで報いたい。クラブが最後にリーグ優勝を果たしてから、もう長い時間が経っているんだからね。
Balon:あなたの契約には、バイアウト条項はありますか?
Torres:いや、あちらではそういうのはないんだ。選手が別のクラブとサインして移籍する前に、両クラブが合意に達していなくてはならないんだよ。
Balon:もしもフロレンティーノ・ペレスがレアル・マドリーの会長に復帰したら、彼はあなたのドアをノックしに来るかもしれませんよ!
Torres:レアル・マドリーはこの競技の中で最大のチームじゃない。レアル・マドリーはビッグクラブだけど、バルセロナもそうだし、ACミラン、バイエルン・ミュンヘン、インテルもだ・・・僕が興味を惹かれるチームじゃないし、僕がアトレティコ・マドリーで過ごした時間があるから逆のことも言えるよ。
Balon:それでは・・・フロレンティーノ・ペレスがあなたの口から「YES」という言葉を聞くことはないわけですね?
Torres:僕は、自分がレアル・マドリーでプレーしている姿は考えられないよ。
Balon:リバプールの後のことは?
Torres:何年間はセリエAでプレーしたいと思う。その時は、僕はヨーロッパフットボールの三大リーグ、スペイン、イングランド、イタリアでプレーしたことになる・・・まあわからないけど、ドイツリーグも選択肢の一つかもしれないね。
Balon:ドイツ?
Torres:うん、例を挙げれば、バイエルン・ミュンヘンはプレーするのに興味を惹かれるチームだ。でも万一僕がドイツでプレーするとしても、それはずっと先の話だろう。フットボールは一夜にして変わるし、僕が積極的に変化を求めることはないだろうけど、スペインに戻る前にイタリアやドイツでプレーしても構わないよ。もちろんスペインに戻るのは、アトレティコ・マドリーでプレーするためだ。
Balon:ドイツと戦ってヨーロピアン・チャンピオンになりました。スペインの次は何でしょうか?
Torres:ファンが代表チームに心をわしづかみにされているのが続くように、僕たちがもっと成功を楽しめることを願っている。スペイン代表にとって物事が全く違っていたのは、ついこの間のことだ。
Balon:次は2010年のワールドカップチャンピオンでは・・・
Torres:僕たちはあの大会で優勝できるだけの力がある。有名なチームがいくつか加わっても、それでも僕たちはタイトル獲得候補に入るだろう。一つの試合が、ほんのわずかの差で決まる瞬間は必ずあると思う。例えばPK戦のようにね。僕たちが(EURO2008で)イタリアを相手に勝ち上がったのがそれだった。チームがほんのちょっとの運に頼らなくてはなない時はあって、ヨーロピアン・チャンピオンシップでは僕たちにそれがあった。僕たちのチームに幸運が留まっていることを、指を折って祈るよ。
Balon:25歳でスペイン代表60キャップです。代表チームでのこれまでは目覚しいキャリアですね。
Torres:上手く行けば、これからもっと増えるだろう。出来るだけたくさんの試合に参加できるように、怪我がないことを願うよ。セルヒオ・ラモスが僕の後ろを追いかけて来るからね!僕の目標の一つは、母国での100キャップ達成なんだ。その節目に到達できることを願っているし、そうなったら僕にとって大きな意味を持つだろうね。
Balon:ビセンテ・デルボスケのスペイン代表監督就任は、代表チームに何をもたらしていますか?
Torres:幸福感に酔っている時に、彼は僕たちに冷静さをもたらした。僕たちは、対戦するありとあらゆるチームを自分たちは倒せると感じている。ビセンテ・デルボスケは、僕たちに地に足を着けさせておく方法を知っていた。彼の冷静な性質、そして物事のやり方も、チームを取り巻くファンやプレスといった全ての人々を冷静にさせておく力になっている。今は、自分たちがどこまでいけるかを証明するのは僕たち次第だ。
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「数年のうちにセリエでやりたい」という部分だけがクローズアップして報道されていましたが、インタビューを読むと「リバプールでのプレーが終わった後に」という意味でした。興味を引く部分だけを切り取って報道するのは世界どこでも変わりませんね。
レッズファンとしては彼にはキャリアをリバプールで終えてもらいたいと思いますが、やはりいつかはアトレティコ、というのは彼の中にあるんでしょう。今の契約が満了する時は彼は29歳、それをもう少し延長してもらって、その間にリーグタイトルをいくつかとCLのタイトルを獲得して、バロンドールも獲って、そうなったあかつきには喜んでスペインでもイタリアでも送り出せるかもしれません。WCのタイトルは2010年はイングランドか日本(!)に譲っていただきたいと思います。たぶんキャプテンのラストチャンスでしょうから・・・。
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