フィレンツェでの敗戦を受けて、
タイムズ紙が「リバプールの中盤について5つの疑問」と題して、問題を語っています。
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火曜のフィオレンティーナとのアウェイでの2-0での敗戦を受けて、そのチームのプレーぶりから、リバプールの中盤がほとんどの批判の矢面に立たされている。通常であれば信頼できるリバプールの中盤がなぜあれほど機能しなかったのか、そして改善するために何ができるか、タイムズ紙はその鍵となる5つの質問に答える。
フィオレンティーナ戦で、ルーカス・レイバと組ませてファビオ・アウレリオを中盤の真ん中に置いた理由は何でしょうか? ラファエル・ベニテスのアイディアは、ポゼッションを支配しようということだったようです。そのために、アウレリオというボール扱いに長けた選手を中盤の真ん中に配置するという選択をしました。問題は、リバプールがボールを持っていない時に起きていました。彼らには、セリエAのチームが中盤を切り裂くのを止めるだけのエネルギーと身体的強さが足りなかったからです。それが最も顕著に見られたのは、ステファン・ヨベティッチが先制点をたたき込むその前のプレーで、フィオレンティーナのミッドフィールダー、クリスティアーノ・ザネッティに、ハーフライン上での2人の及び腰のチャレンジで簡単に仕事をさせてしまった時でした。
ベニテスは、スティーブン・ジェラードを中盤の位置に置くべきだったんでしょうか?結果論ですが、それがおそらくは解決策になったでしょう。スティーブンの活動力を考えれば特にです。問題は、ゴールを量産しているジェラードとフェルナンド・トーレスの攻撃のパートナーシップで、リバプールの監督は彼らを切り離すことを嫌っています。中盤の一つの穴を満たすことにより、攻撃に別の穴が出来てしまいます。ベニテスのオプションは不足しており、この状況を解決するには時間がかかります。リバプールの選手層に補強を加えるということでのみ、解決可能です。
シャビ・アロンソが残留していたら、こういう問題は回避できたでしょうか? 一言で言えば、YESです。しかしアロンソが彼の心をレアル・マドリー移籍に定めた以上、ベニテスとリバプールに出来たのは、彼の移籍で巨額の移籍金を確実に受け取り、そして前に進むことだけでした。もう一つの「もしこうだったら」は、マンチェスター・シティの選手でイングランド代表選手でもある、ギャレス・バリーの一件です。彼のクラブと代表での活躍を見れば、アンフィールドに引き付けられていたこの選手は、リバプールにフィレンツェでは欠けていた中盤のバランスをもたらすことができたでしょう。
アルベルト・アクイラーニは、リバプールの問題点の解決策でしょうか?直接そうはなりません。このイタリア人選手は、ホールティング・ミッドフィールダーではありません。彼はもっと前目のポジションで真価を発揮します。一時的な措置としては、アクイラーニがフィットすれば、攻撃でトーレスをサポートし、ジェラードがセントラル・ミッドフィールドに戻ることができるでしょう。彼はキャリアの大部分をその位置でやって来ました。しかしベニテスにとって理想の長期のシナリオは、彼のキャプテンをトーレスの後ろという最も力を発揮できるポジションに留めることでしょう。しかしそれを実現するためには、1月にもう一人ミッドフィールダーの補強が必要のようです。
火曜のリバプールの中盤の問題は、ハビエル・マスチェラーノの重要性を浮き彫りにしていますか?疑問の余地なく。マスチェラーノが最高の状態ならば、最終ラインの前を守ることに関しては、彼の有効性は世界のどのフットボーラーにも引けを取りません。ハムストリングの違和感で戦列を離れたことで、彼の不在はフィオレンティーナ戦で痛いほど感じられました。しかし、この25歳の選手は今シーズンの開始からずっとピークにはほど遠い状態です。バルセロナからの興味と、来年に控えたワールドカップの予選で苦戦しているアルゼンチン代表でキャプテンを勤めていることの悩みが重なり、そのためにプレーの集中を自ら欠いているのではないかという懸念が、今のマージーサイドにはあるのです。
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正直に言うと、試合の解説などで「アロンソが抜けたから・・・」というコメントを聞くたびに、「もう過ぎたどうしようもないことをいつまでもグダグダ言うなや!」とイラッとしています(苦笑)。せめて、じゃあどうするか?という前を向いた意見を付け加えてくれるといいんですけどね。タイムズ紙は、アクイラーニの加入は直接の解決策とはならない、ミッドフィールダーがもう一人必要だと言っています。個人的には今の戦力で十分やれると思っているんですが、記事で示唆しているマスチェラーノの移籍ということを想定するなら、冬のうちに良い選手を獲得しておくのがベストなのかもしれません。スピーリングも良い選手ですが、彼も底というよりもやや前目の方が力を発揮する選手だと思います。プレシは最近の出来ではちょっと心もとないし・・・。ラファは彼ら2人を使う気配は全くありませんでしたね。もし試合が楽な展開になったら、経験を積ませようとの考えで連れて行ったんでしょうか。
当のミッドフィールダーたちとキャラのヴィオラ戦後のコメント、そしてラファのコメントをご紹介します。
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●キャプテン
(Liverpool Daily Post)「フィオレンティーナに敗れたことにはがっかりしたよ。僕たちはピッチのあらゆる場所で2番手で、ハーフタイムの時点でリードされていたのは当然だった。
後半のプレーは良くなったし、いくつかチャンスも作った。しかし試合を支配することは出来なかった。僕たちのいつものヨーロッパのアウェイゲームのような戦いが出来ず、プレーに実質的な速さがなかった。
普段なら僕たちは速いテンポでプレーし、パスをしっかりと繋ぎ、上手くカウンター・アタックをする。しかし、ピッチ中で、前から後ろまで全てで、僕たちは全く本来の力を出せなかった。前半は特にだったよ。
しかし、このグループはまだ予測がつかないと僕は思っている。まだこれから試合はたっぷりあるんだし、僕たちは今1勝1敗でフィオレンティーナと順位は同じだ。そして彼らには、これからアンフィールドでの僕たちとの対戦が残っている。
僕たちが次のホームゲームでグループ首位のリヨンに勝てば、事態はまた変わるだろう。ホームゲームに全部勝てばそれで十分なはずで、僕たちはいい位置につける。
しかし、この敗戦を早く忘れ去ることが必要だ。今度は日曜に、チェルシー戦という大一番が待っているからね。僕たちがやらなくてはならないのは、スタンフォード・ブリッジでこの敗戦を跳ね返すプレーをすることだ。
(ヨベティッチについて)彼らのことは少しは知っていたから、予想されるものについて考えはあったよ。そして彼らの若いストライカーは良くやった。アンフィールドでは、彼から目を離さないようにしなくてはならないだろうね。」
●キャラガー(Liverpool Daily Post)
「俺たちにのパフォーマンスは十分じゃなかった、それは良くわかっている。後半には少しは良くなったが、それでも十分じゃなかった。
全くプランどおりに行かなかった。彼らにとっては大一番で、俺たちにとっても大一番だったが、彼らはスタートから俺たちよりもしっかりと準備して来たように見えたね。理由が何であれだ。
何らかの解決策を見出さなくてはならないだろうが、幸運なことに、俺たちには修正するためのチャンピオンズリーグの試合がまだ4つある。」
●ルーカス(Liverpool Daily Post)
「これからのグループ戦では、僕たちは大きな努力をしなくてはならないだろう。いいプレーが出来なかったこと、そしてそれを修正しなくてはならないことはわかっている。
相手は本当にアグレッシブで、前半の僕たちはそれに対処することが全くできなかった。後半には立て直して自分たちのやれることを見せたけど、ゴールは決まらなかった。後半に2点か3点は入っても良かった。しかし僕たちは、自分たちがいいプレーが出来なかったことと、リバプールとして不十分だったことを認識している。
前半のうちには、僕たちは一つのチャンスも作れなかった。しかしその後は良くなったよ。後半開始直後には僕に決定的なヘディングのチャンスがあって、もしあれが決まっていたら違う試合になっていただろうと思う。」
●アウレリオ
(タイムズ紙)「(ハーフタイムのラファについて)僕たちが今まで見た中で、最も苛立っていた監督だったと思う。でも僕たち全員が苛立っていた。前半終了後は僕たち全員がそう感じていたし、だからこそ後半はもっといいパフォーマンスが見せられたんだと思うよ。しかしハーフタイムに厳しい言葉は必要じゃなかった・・・僕たち皆が、自分たちは良いプレーが出来ていないこと、そしてもっと良いプレーをしなくてはならないことをわかっていたからね。
後半にはもっと試合をコントロールできたし、いつもなら決めているようなチャンスを作った。前半は彼らにどう対処したらいいか、その方法が見つけられず、彼らに大きなスペースを与えてしまった。彼らはボールをコントロールし、僕たちは彼らを止める方法が見つけられなかった。
全くリバプールらしくなかったよ。後半には僕たちは違うチームになり、もしもああいうプレーを最初からやれていれば、結果は違っただろうと思う。今はそういうことを考えている暇はない。しかし、もしこれから同じ状況になったとしたら、その時はしっかりと対処できるだろう。
フットボールでは、修正して物事を自分の良い方へ変えるチャンスは常にある。そして僕たちのそれは、日曜のチェルシー戦だ。フィレンツェでの敗戦の落胆を乗り越えるには、僕たちにとって願ってもない相手だ。プレミアリーグの中でとても重要な一戦で、とても強力なチームとの戦いだ。僕たちはこの結果から早く立ち直って、自分たちは良い仕事ができるという自信を再び取り戻さなくてはならない。
日曜には、本物のリバプールを見せなくてはならない。プレミアリーグは長い戦いで、ポイントを取るためには本当に厳しい戦いが必要だということを、僕たちはわかっている。」
●ラファ
(Liverpool Daily Post)「前半の私たちのプレーについては、このチームがあれだけひどく苦戦したのを私は今まで見たことがありません。お粗末なパフォーマンスでした。彼らは私たちにプレスをかけてミスを誘い、私たちは事前に話していたことが何もできませんでした。
最初はいいプレーが出来ませんでしたね。非常にたくさんの問題、非常にたくさんのミスがありました。フィオレンティーナは良くやりました。私たちはあらゆる点に変更が必要で、後半は完全に変わってはるかに良くなりました。
前半の彼らは終始私たちを圧倒していましたね。事前に話していたことを、私たちは出来ませんでした。難しい試合になるかもしれないことはわかっていましたが、フィオレンティーナは良いプレーをし、私たちは全てに渡って悪かった。
後半には選手を変えることなく改善が出来ました。それは、前半のメンタリティが十分ではなかったということです。
ハーフタイムに、私たちはミスについて話をし、どうやって改善するかを話しました。解決策を見出そうとしていました。私にとって肝心なことはメンタリティで、正しいやり方でボールにチャレンジすることでした。
後半の早い時間にゴールが決まっていれば、試合は変わっていたかもしれません。私たちにはチャンスがありましたが、決めきれませんでした。後半にははるかに良くなりましたね。後半開始直後から相手を凌駕しました。それが、私たちがやりたいと思っていたことです。
(チェルシー戦は)全く違うチームになるでしょう。上手く行けば、今夜の後半のようなリバプール・フットボールクラブを見られると思います。その方が嬉しいですね。
フィオレンティーナは非常に良い仕事をしました。彼らはピッチ中で私たちにプレスをかけ、私たちはあまりにも多くのミスをして神経質になっていました。そして、ミスをしたらその代償を払います。
彼らは私たちを驚かせはしませんでした。タフで困難な試合になるだろうとわかっていました。この町とファンにとって重要な試合であることを、私たちはわかっていました。ヨベティッチのことも知っていました。彼は良い選手であるとわかっていましたよ。何人か選手をチェックしていましたが、このレベルで彼は良くやっています。」
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ハーフタイムのラファはどうやら激怒していたようです。頑固な彼らしくメンバーを変えることなく、それで後半に違うチームにしたのはさすがですね。しかしキャプテンが別の記事でコメントしているように、前半で試合は決まっていました。せめて1点に抑えていればまた違ったんですが、2点目が痛すぎました。あれはちょっとこちらには不運なゴールでしたね。
選手たちも監督も、もう気持ちを切り替えて日曜に向かっているでしょう。懸念とされている守備が試される、試金石と言っていいゲームになりそうです。中盤が不安定なこととサイドバックが攻撃的なこと、さらにはCB自身のパフォーマンスが良くないことで不安定な守備ですが、そこをどう改善できるか。マスチェラーノは間に合えば入るでしょうが、アッガーの起用はあるか、インスーアをアウレリオに変えるのか、など興味は尽きません。
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これから
何より今リバプールがズレた感じがするのはディフェンスな気がするので、彼がどうこうではないようにも思えます。
攻撃面では今週末に大一番が控えていますが、その後のW杯予選の間にアクイラーニが入ってきてどういった変化を見せるか、こちらはかなり楽しみにしています。
たぶんキャプテンが今までより後ろに下がることになるのでしょうが・・
Re:これから
無題
アッガーってアンカーはできませんかね。
もちろん大きな試合で急にとはいきませんが
ボールの扱いもうまいし。
すばやい判断力と中盤的スピードは未知数ですけどね。
もちろんCBがベストでしょうけどキルギアコスも
結構使えそうだし。
アッガーが中盤の底にいたらミドルも期待できるなぁ。
なーんて考えちゃいます。
でも攻撃に関してはアンカーに頼ったゲームメイクから
全体で作る方法を構築することこそ脱アロンソでしょう。
アーセナルの中盤だってスペシャルなアンカーが
いるわけでもないよね。
ディフェンスもやっぱり組織的成長が鍵じゃないかな。
特定の選手を責めたって解決にはならないと思う。
今いる選手達こそがリバプールなわけだし。
悩みは多いがあーだこーだ考えるのも楽しいですよね。
Re:無題
アッガーはブロンビーのユースでストライカー→中盤→左SB→CBとポジションを移したそうなので、中盤は経験しているはずです。問題はスピードと、運動量でしょうね。一度は見てみたいと私も思っています。
>悩みは多いがあーだこーだ考えるのも楽しいですよね。
これその通りです!自分が考えたってどうなるもんでもないとわかっているのに、あれこれ考えるのが楽しいんですよー。そうすることで次に試合を見るのがますます面白くなるし、懸念していたことが解決されていると、自分の手柄のように嬉しい(笑)。アホなファンです。守備の問題、解決されているといいですね。
よろしくお願いします
オレンジセレナさんのコメントにかなりの
部分賛成です。アウレリオはリーズ戦
で、ある程度実験済みだったので、敵意に満ちた
イタリアで結果が出なくて、彼個人を戦犯には
出来ないですよね。アッガーも魅力的ですが、
結局アウレリオをそこに持ってくるのと
理由は余り変わらないような気がします。
ミドルも上手いですもんね。アッガーの方が
判断早いんでしょうかね?
ある程度”俺のリズムでいけや”的なキャプテンシーを持った人のほうがいいと思うのでやっぱり
ジェラードさんしかいませんね。
この際彼にも少し年齢を考慮してもらって、
インテルのサネッティがSBとアンカーも出来る
ように、マルチにやってもらった方が長期的に
みて、チームの成長にもいいんじゃないかと
思ってしまいます。
スペインに、今期台無しにされたリバプールってのだけは、やめて欲しい。何よりボスが一番
それは気に入らないでしょうね。
Re:よろしくお願いします
おっやるようにアウレリオを戦犯には出来ないですね。本来ではないポジションで大一番に起用された、彼が気の毒でもありました。それに彼だけではなく、あの試合ではパフォーマンスが悪かった選手を挙げればきりがないくらいです。
サネッティはある意味お化けだと思います(笑)。彼は選手としてもキャプテンとしても、本当に尊敬すべき人ですね。レッズキャプテンにはできるだけ長く現役を続けて欲しいので、個人的にはホールでやって欲しいと思っています。でも彼の”俺のリズムでいけや”は魅力ですね~。
>今期台無しにされたリバプール
本当にこれだけはカンベンして欲しい。そのためにもボスには頑張ってもらわないと!