今季からインテルを率いるモウリーニョ監督が、8月16日付けのテレグラフ紙のコラムで、プレミアのチームについて語っています。
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●モウリーニョ監督
(テレグラフ紙)この夏の、ギャレス・バリーの移籍劇についての誇張された騒ぎを忘れ、監督とオーナーの間の関係についての新聞の作り話を忘れ、ミッドウィークのリエージュ戦でのパフォーマンスを忘れ・・・私は今シーズンがリバプールの年になり得ると心から信じている。
監督、ラファ・ベニテスは私と同時期にイングランドにやって来て、クラブでの5年目を開始している。私が常に口にしていたのは、私のチェルシーは5年目になって初めてベストを迎えるということだった。そして同じことがリバプールにも当てはまるはずだ。同じ選手の集団と同じマネージメント組織が、4年間続けられて来た。その間に弱点は明らかにされ、処理された。
もちろん、リバプールのサポーターはここ数年間に多くの成功を楽しんできた・・・彼らはチャンピオンズリーグ優勝を果たした。しかし、フットボールサポーターなら誰もが知っているように、チャンピオンシップ優勝チームというのは、チャンピオンズリーグで優勝できるチームとは全く違う。決勝まで勝ち進むチームと準決勝で敗れるチームは、些細なことで分かれる・・・議論を呼ぶゴールやペナルティといった些細なことでだ。チャンピオンシップ優勝は、些細なこと以上のもので決まる。
チャンピオンシップ優勝を果たすためには、ワールドクラスのゴールキーパーとワールドクラスのストライカーがいなくては不可能だ・・・そしてリバプールはそのどちらも兼ね備えている。昨シーズン、クラブがフェルナンド・トーレスを買ったことでクラブの背骨は完成された。ペペ・レイナ、ジェイミー・キャラガー、スティーブン・ジェラード、そしてトーレス。
レイナはリエージュ戦でPKをセーブし、彼の重要性を水曜の夜に再びはっきりと見せつけた・・・そして、私は彼のPKセーブか決してまぐれではないことを、直の経験から知っている・・・同時に、私がジェラードに対して抱いている尊敬は誰もが知っていると思う。彼がこれほど長い間リーグタイトルを勝ち取っていないのは、私にとってはただ信じられないことに思える。
トーレスについてはどうか?ベニテスは、このスペイン人スーパースターを連れて来たことのみでなく、彼をさらに優れた選手にしたことに対しても莫大な評価を受けるべきだ。彼の昨シーズンでの成長、そしてEuro2008でのプレーは誰もが見た。彼は今年も少なくとも20ゴールは決めるだろう。ロビー・キーンが横にいて、もしかしたら彼はリーグ30ゴールさえ越せるかもしれない。
それに何より、リバプールにはアンフィールドという味方がいる・・・そして彼らは、グラウンドが移る前にそのアドバンテージをリーグタイトル獲得に使わなくてはならない。そこは信じられないスタジアムだ・・・私はそこでチェルシーのチームを率いて非常に多くの心を揺さぶられる経験をし、そこが訪れるのになんというタフな、タフなグラウンドであるかをすぐさま学んだ。私の最も幸福な思い出は、2005年にそこで4-1でリーグ戦を勝利したことだ。それは、我々が初めてチャンピオンズリーグ準決勝でそこで敗戦した、その次のシーズンのことだった。あの日の私のチームはすばらしかった。
ナスリはアーセナルの秘密兵器もちろん、5年目を迎えるベニテスは、アーセナルで12年目のベニテスやマンチェスター・ユナイテッドで22年目のサー・アレックス・ファーガソンとはほとんど比較にならない・・・それはただならぬ継続性だ。そしてもちろん、彼らは再びタイトルの真剣な競争相手になるだろう。人は、彼ら2人の監督は、選手のことで今シーズンはいくつか問題を抱えているかもしれないと考えている・・・しかし私にはそんな問題は見あたらない。
そう、アーセナルはまたも、非常に重要な選手を数人失っている。しかしベンゲルはそれに対処する方法を知っている。彼はここのところのシーズンでパトリック・ビエラとティエリ・アンリを失ったことに対処せねばならず、ユースを使って常に彼のチームを再建して来た。そして彼らは非常に攻撃的なやり方でプレーする。今度は彼らは、私が今シーズンセリエで対戦するのを楽しみにしている選手、マチュー・フラミニを失った。しかしベンゲルはサミル・ナスリを買った。彼は今シーズンのビッグスターになり得る選手だ。人はEuro2008での彼に大きな期待を抱いていたが、フランスは非常にお粗末で、彼にとっては困難だった。
私が常に自分のクラブに言っているのは、我々は1つの大会に基づいて選手を買うことはしないということだ。15日間スペシャルな選手が、長いリーグのシーズンを必ずしも同じにやれるわけではないからだ・・・しかしベンゲルはあの大会の前から彼にしっかりと狙いをつけており、彼がどれだけスペシャルな存在になれるかを誰よりも良く知っている。我々は、アーセナルが他に何をするかを8月31日まで待たなくてはならない。クラブがオフィスの中にどんな秘密を隠しているかは、決して誰にもわからない。
この夏に全く秘密ではなかった1つの物語は、レアル・マドリーがクリスティアーノ・ロナウドを欲しがっているということだった。最初からずっと私が思っていたのは、フットボールの世界に、十分な強さを持ち、ああいうことに正しく対処し、あの選手をキープできる人物がいるとすれば、それはサー・アレックス・ファーガソンだということだ。彼の経験、知識、自分のクラブでの力を持ってすれば、決して問題とはなり得なかった。あの選手が変わらぬモチベーションで怪我明けにクラブに復帰し、昨シーズンに彼が見せたのと同じ調子でやれる限り、彼に辛い思いをさせようと思っているいかなるサポーターも、それをすることはないだろう。単純なことだ。サー・アレックスは自分が何をやっているか知っているし、彼らはそれを信頼しなくてはならない。
もちろん、私とサー・アレックスとのバトルは、私が最も失って残念だと感じるものの一つになるだろう。3年間我々2人は名誉を求めて挑戦を続け、そのうちの2シーズンは私のチームはリーグであまりにも強力だった。我々は記録を次々と破り、ホームでは無敗で、試合開始5分間に多くのゴールを決めるといった、重要なことも非常にたくさん成し遂げた。
しかしサー・アレックスは彼のプレーを向上させ、若手と経験ある選手たちをブレンドしてチームを再建し、最高の位置に再び上り詰めた。再びタイトル連覇を果たし、昨シーズンはチャンピオンズリーグも獲った。そう、彼らは決勝のチェルシー戦はPK戦までもつれ込んだが、その前に既にバルセロナを倒しており、それはすばらしい偉業だった。私はサー・アレックスが好きだ。試合の前に一言あったりちょっとした戦いがあっても、試合が終れば全てがおしまいになったからだ。
彼は本当の紳士だ。
レドナップへの称賛チェルシーはホームでポーツマスと対戦するようだが、私にとって非常に興味深い試合だ・・・フィル・スコラーリのプレシーズンは全く見ていないのだが、彼は間違いなく、ポルトガル代表やブラジル代表で大きな国際大会を率いた時に受けていたほどのプレッシャーは感じていないだろう。
しかし彼は、ハリー・レドナップのチームとの開幕戦が難しい戦いだと感じるだろう。
ハリーは私が非常に好きな監督だ・・・彼は自分の選手たちに、ただフットボールだけでなく、それよりもずっと多くのものを教える。私はこの夏にポーツマスからインテルへサリー・ムンタリを買ったが、彼が私にハリーのことを話す時はいつでも、"父親代わり"という言葉を使う。それはまさに私がハリーについて思っていることそのものだ・・・そして、優れた監督とはそうあるべきだと私が思っていることだ。彼のチームはいつでも笑顔を浮かべてプレーし、それは全て彼に拠るものだ。彼は大局を見据えており、その点で私にちょっとサー・ボビー・ロブソンを連想させる。
サー・ボビーは大局を見据えることが出来ることで、生涯を通して勝者であり続けている。バルセロナで彼と共に仕事をしたのはすばらしい名誉だったし、彼はイングランドの代表監督としての彼の仕事のプレッシャーについて、いろいろと語っていた。私は自分がイングランドに来るまで、それがどんなに困難な仕事かは実感としてわからなかった。その時に初めて、8年間代表チームの監督であるということがいかに難しいかを理解できた。
あらゆることに耐え、彼はイングランドをワールドカップ準決勝に導くという偉業を成し遂げた。しかし彼にはちょっと運が足りなかった。ワールドカップ準決勝をPK戦で敗退する、それはチャンピオンズリーグ準決勝をPK戦で敗退するのに少し似ている。キャリアをも変え得る小さなことがある。しかしサー・ボビーは美しいキャリアを積んだ。
彼は真のフットボールレジェンドだ・・・そしてそういう人物は大勢はいない。
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スペシャル・ワンからお褒めの言葉をいただけるとは。リバプールを評価しつつも、CL準決勝のあの疑惑ゴールや、「リーグは偶然じゃ取れないよ」みたいなことをしっかり言っているのも彼らしい(笑)。この強烈な自負心がこの人の魅力であり強みですね。今季のインテルをどんなチームに作ってくるのか、とても興味があります。ラファも負けるな!
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無題
ルーカスもプレシも好きだけれど、どうして放出されるべきがシャビ??
やっぱり、納得できない・・・少し寂しい思いの開幕戦でした。
もちろんこれからに期待はしていますが、ラファにとっても本当の意味での勝負の年でしょうね。
無題
おっしゃるとおり、ラファにとっては今年が勝負でしょう。今年のチームは、これまでの4年間とは大きく変わると思います。まずは守備を固めてきたラファが、今年は攻撃に大きくバランスをシフトするのではないかとひそかに期待しています。