アロンソがSKY SPORTSのインタビューで「1年前から心は変わっていた」というコメントをしました。それで、もう少し詳しい顛末を報じていた、およそ1ヶ月前の
8月8日付けエコー紙の記事を、いまさらではありますがご紹介しようと思います。
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月曜の夜(※エスパニョール戦の帰り)、バルセロナ発リバプール行きの7208便に、シャビ・アロンソがちょうど非常口の横の席に座ったのは、状況を端的に表していた。それは結局ところ、彼がアンフィールドで以前から探していたまさにそのドアだった。
このミッドフィールダーの長きに渡る移籍交渉が数日前にやっと成立し、大勢の人間が、アロンソとラファ・ベニテスとの関係の壊れ方を考えると、マドリーとマージーサイドからお互いにとげのあるコメントが出されることを予想した。しかしながら、アロンソはプロフェッショナルであることを選択し、不要で不適当な論戦をする機会は回避し、彼の元クラブについて適切なことだけを言い、自分の元クラブの監督に対して敬意を述べることすらした。
一方で、ベニテスはアルベルト・アクイラーニの美点について賞賛することで彼の視線を単純に将来に向けた。「王は死んだ、王様万歳!」のフットボール版スピーチだ。(※王は死んでも王制は末永く続く=人は引き継いで体制は続いて行く、の意味)
そういう品位が保たれ・・・少なくとも公の場では・・・この2人が過去12ヶ月に渡ってどれほどお互いが遠ざかっていたか、想像するのは難しいだろう。彼らがお互いの問題を内部にとどめていたのは、大きな賞賛に値する。大きな内紛が続いていたクラブで、スタッフがぴったりと口を塞いで表に出さなかったのは不思議ですらある。もしも最も重要な一員である2人の確執がメルウッドの壁を越えていたら、悲惨なことになっていただろう。
彼らの関係の最悪の時は、昨年の夏のベルギー、ベニテスが彼を売ることを決断したことに怒ったアロンソが、スタンダール・リエージュとのチャンピオンズリーグ予備戦でプレーすることをほとんど拒否した時にやって来た。アロンソは監督に、もしも自分が出て行って他のクラブと契約するのなら、大会のカップタイドにならないように、ジェイ・スピーリングかダミアン・プレシにプレーさせるべきだと告げた。
リエージュがリバプールに与えた恐怖を考えた時・・・あの時のリバプールはハビエル・マスチェラーノを欠いていた・・・あの夜、アロンソもプレーしていなかったら一体どうなっていたか、考えるのも困難である。
しかしあの時点から、引き返す道はなくなった。アロンソは冷静さを取り戻して、過去およそ20年間で最高のリーグとなるシーズンをリバプールが過ごす決定的な役割を演じはしたものの、選手と監督の関係は壊れ、それが修復されることはなかった。
だからこそ、道を分かつのが皆にとって最大の利益をもたらすことだった。アロンソは若い家族と共に母国スペインに帰り、さらに重要なことには、この夏に手持ちの資金を惜しまず何億ユーロも費やして、その野心を匂わせているクラブへの移籍を獲得した。一方資金が潤沢に流れることのないクラブにいて、ベニテスは移籍資金を大幅に増やすことができ、彼のターゲットを連れて来て、リバプールがチャンピオンの挑戦者となる重要な最終ステップを上ることを可能にするだろう。
しかし、この取引で最終的により良い利益を得るのはどちらか、それは今のところ不明だ。ベニテスは、この金を賢く使わない限り、彼がベルナベウの金庫から最後の1セントまで吐き出させるためにレアルとやった丁々発止の戦いが、ピュロス王の勝利以上の何ものももたらさないということをわかっている。一方でアロンソは、レアル・マドリーで進行中のサーカスの舞台監督という自分の新しい役割について、収まらない疑問を心の中に抱いているに違いない。
この中盤のスタイリストは、最終的には非常口に席を置いたかもしれない。しかし彼があれほど欲していたプロフェッショナルとしての満足を見出すかどうか、それはこれから問われている。
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この記事を読んだ時は移籍決定直後で凹みまくっていたので「そうだったのか・・・」と少なからず衝撃を受けたし、聞きたくなかったという気分にもなりました。今更話を蒸し返して、不快な思いになった方がいたらお詫びいたします。これはスペイン遠征にも同行して移籍の顛末をつぶさに見たと思われるトニー・バレットが、タイムズ紙に移る前の最後の日に掲載したものです。これは言っておきたい、という気持ちがあったんだと推察します。
リエージュ戦はマスチェラーノもルーカスもオリンピックで不在で、キャプテンが怪我で出場は微妙という状況でした。どんな際どい試合になったかはご存知の通りです。出場を拒否したアロンソの気持ちも、それをおそらく承服できなかっただろうラファの気持ちも、どちらもわかるつもりです。アロンソはそれからリバプールの5年間で最高のシーズンを送り、選手として一つ大きくステップアップしました。彼のそのプロフェッショナルな姿勢を尊敬するし、一ファンとして感謝しています。マドリーでどうかRingmasterとして成功して欲しい。
記事の中のピュロス王の戦いとは、ローマとの戦いで勝利は収めたものの大きな犠牲を払ったことから、「損害が大きく得るものが少ない勝利」を例える言葉です。アロンソを失った時は、その資金でラファはもっと強いチームを作ってくれる、そう信じました。それだけにこの移籍市場の成り行きには、オーナーに対する怒りがフツフツと・・・。
ところでアロンソは何を語ったのか?という方のために、彼のインタビュー記事の一部分ですが、
SKY SPORTSよりレッズについて語った部分を載せておきます。ここではビデオも見られます。
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リバプールについて・・・厳しい問いだったし、リバプールを去るというのは僕にとってはとても難しい決断だった。5年間で、僕はアンフィールドで何度か魔法の夜を経験し、世界最高のファンのサポートを経験するという幸運に恵まれたよ。それはこれからもずっと僕の心の中に残るだろう。
ベニテスについて・・・数多くのうわさが流れていたけど、以前にも言ったように、僕たちの関係はプロフェッショナルなものだった。僕は、ピッチで彼に求められていることをやろうと常に努力していた。子供が生まれた時は、自分の家族と共にいることを決断しなければならなかった。大事な時だからね。昨年の夏、新しい選手を獲得するために僕を売らなければならないとクラブが提案したのは、難しい時だったよ。しかし僕はプロフェッショナルとしてそれを受け入れた。あの時僕の気持ちは変わった。あの瞬間、変化すべき時がきたのかも、と思った。
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見落としでした
私も移籍にshockを受けていた時だったので、Liverpool関連の記事はあまり見ていない時期でした。
よく一年表に出ませんでしたね。
skyのインタビュー以上にある意味“納得”と。
こういうことがあったのだとすると今さらながら仲が良かったであろうGerrardの「Xabiは移籍するだろう」発言もまた納得と。
プロフェッショナルぶりに脱帽です。
Re:見落としでした
無題
二人とも、すごいプロフェッショナルですよね。ただマドリー入りの記者会見でも口にした監督への感謝の言葉に嘘はないと思います。ラファも、今週『サッカーダイジェスト』のインタでのアロンソの言葉を信じるなら、互いに尊敬の念は保っていたと思います。ある時から道が分かれ、違う方向を向き始めただけで。
ところで、インタビューの最後、「あの瞬間が変化の時だったんだ。」というより、「あの瞬間、変化すべき時がきたのかも、と思った。」でしょう。
ビデオを見ると、maybeを繰り返していて、見出しがあおるほど決定的だったと思えず、やはり悩みぬいたすえの難しい決断だったと思いたいです。
Re:無題
おっしゃるように、私も感情に任せて関係がこじれたわけではないと思っています。アロンソは賢い選手ですから、ラファがやりたいチームの構想に自分が入っていないということ、自分のキャリア、プレースタイル、いろんなことを真剣に考えた末の決断であったんだろうと思います。そこで腐ることなく、それどころか自分の価値を改めて証明して見せた、まさにプロフェッショナルですよね。すごいの一言です。
無題
話が変わりますが、CL登録メンバーにネイサン・エクレストンの名前を発見!!やったー!!
インターナショナルブレイクという私にとって嫌な時期に明るい日差しが差し込んできました!!ww
ベニテスさんどうか少しの時間でいいので彼を使ってください。
Re:無題
CL登録メンバー見てみました。いろいろ面白いですね。エクレストン君はいいですねえ、彼に出場機会があったら嬉しいな~。そのためには、グループステージで早々と勝ち上がりを決めてしまわなくては。
無題
フニクラさんの愛情あるコメントに心洗われております。
どうも初めまして、Akemiと申します。
彼の移籍で様々なことを考えてしまいました。
だからやっぱり明確に「どの時点」で彼の気持ちが固まったのか知りたいと思っていました。
ですので今回の記事、拝読出来てよかったです。
大好きな選手が大好きなクラブを去る。
彼の移籍は時間の問題だと分かっていても打ちのめされるほど辛い ものでした。
私自身の感情を排除して考えれば、
監督との関係が上手くいっていない選手が次の「職場」を求めることは普通のことだと分かります。
彼としてはリバプールと同等かそれ以上のクラブが良い、そこに未知の可能性と野心を持ったクラブから必要とされれば答え は“YES”でしょう。
とてもシンプルな図式です。
彼がバスクの星であることがマドリーへの移籍に抵抗を与えてくれないかと、
縋り付いてみましたが「労働者」である選手にはその垣根は低いも のなのかもしれません。
移籍という場面においてはファンの存在も効力を持たないのでしょうね。
結局はファンは外部の人間です。私が彼の生活を保障してあげられる訳ではない。
良いクラブを作ることや優勝することはおまけみたいなもので、フットボール“ビジネス”を成功が目下の目標としているようなところに移籍されたのが複雑な気持ちを残るんですよね。
しかもアロンソが入ったことでチームに芯が通った気がして腹が立 つんですよね。
「のび○のくせに!」というジャイアン理論のように、「マドリーのくせにチーム作りなんか考えるなよ!」と無条件に腹が立ちます(笑)
彼の昨季の躍進は「プロである」ことの意味を考えさせてくれました。
様々な感情があったでしょうけれど、
その中に「今年で最後」と思う気持ちが含まれていたのかと想像すると今でも切ない気持ちになります。
初めてのコメントで長々と申し訳ありませんでした。失礼いたします。
Re:無題
もしも昨年の夏に彼がユーベに行っていたら、アロンソにとって納得できないものが残ったでしょう。しかしすばらしい1シーズンを過ごして見せることで、彼自身は今度は自分が主導になって望むクラブへの移籍を勝ち取り、クラブも大幅に移籍金を増やしました。これが一流のプロなんだなあと改めて思います。しかし交渉が頓挫してリバプールに残っていたとしても、やっぱりすばらしい仕事をしてくれたと思います。彼は何よりリバプールを愛していますから!
>アロンソが入ったことでチームに芯が通った
これ私も思います。選手と合ってきたらものすごいことになるんだろうなあ、と思うと非常~~~に複雑な気分です。アロンソには成功して欲しい、でもペレスに成功されるのは悔しいという(笑)。だからこそ、「アロンソがいないと駄目じゃん」と言われるぐらいの選手になって欲しいし、その彼らマドリーをアロンソが抜けたレッズで倒したい!
今の気持ち
先日、初めての投降(メール)に対し、丁寧なご返信を頂き、
ありがとうございました。
今でも、アロンソのファンです。世界で一番応援している選手です。
暫くの間実感が湧きませんでした。ニュース映像を見ても、雑誌を
見ても、シーズンが始まってもです。でも漸く今になって、「そのチ
ームの選手」という感覚を覚えてきました。ファンとしてまだ心の切
り替えがはっきり出来ていないんだと思います。
僕は、リヴァプールと同時にバルサのファンでもありました。銀河系
軍団には興味がありませんでした。それでも、もう今となっては、レ
アルのいいところばかりを取り出して見るようにしたり、バルサをラ
イバル視する心があることに気づきました。"ミーハーが求めるような
形だけのチーム"(といのは気持ち半分ですが)ぐらいに心の中では皮肉
っていたのに、今となっては歴史あるあのレアルの一員、司令塔にな
ったんだと、凄さを素直に実感しつつあります。アロンソのいるレア
ルの状況が自然と気になっています。
まだ日は浅いし、気持ちも薄いですが、僕はやはりレアルは応援する
と思います。しかし、リヴァプールの応援もやはり変わらないと思い
ます。このサイトで具にわかる選手の気持ち/状況、フニクラさんの
コメントと共に読み解いていくうちに、1つのチームの発展過程が見
え、愛情も強くなってきました。チームのメンタリティー的にもマンU
より、謙虚かつ献身的な部分がうかがえ、僕にも合っているように思
っています。僕はアロンソ、チャビ、ペップ、レドンドなどのCHが大
好きな人間ですが、ローマ在籍の多数のMF(より機動性を備えた)にも
注目していたので、アクイラーニが入ったチームがどうなるのか、楽
しみです。
アロンソは精神もしっかりしているんですね。改めてファンで良かっ
たと思います。昨年終盤のキャラ説教の件も思い出します。今年のこ
れまでのチームの状況を読ませてもらっていて、アロンソが戦術的に
も精神的にもリヴァプール生え抜き選手に比する存在・プロフェッシ
ョナルで、大変貴重だったということも改めてわかりました。思って
いる以上に、ジェラード・トーレスだけのチームじゃなかったんです
ね。Akemiさんのコメントにも共感です。
まとまりのない、私情ばかり並べたコメントになってしまい、大変申
し訳ありませんでした。これからも是非、サイトの継続宜しくお願い
致します。日々楽しみにしています。
Re:今の気持ち
アロンソはキャプテンやキャラにも並ぶ、チームの精神的支柱の存在だった、今になって改めてそれをひしひし感じています。彼の抜けた穴を、ピッチの上の選手たちは肌で感じているような気がします。決してそれは口に出さないですが。早くそこから脱して欲しいですね。そのためにも、アクイラーニの存在が重要です。
>アロンソ、チャビ、ペップ、レドンドなどのCHが大好き
みんなチームを操るすばらしいコンダクターたちですね。スペイン代表戦は見ていますか?デルボスケさんはアロンソとチャビをうまく共存させようと、システムを模索しながら上手にやっていると思いますが、どうでしょう。アロンソは今のところ、慣れているからかスペイン代表の方がマドリーでよりも持ち味を出せているように感じます。マドリーではこれから作って行くところですね。Kiyoさんはこれからもリバプールも応援していただけるとのこと、すごく嬉しいです!こちらこそこれからもよろしくお願いいたします。