忍者ブログ

   

FIELDS OF ANFIELD ROAD

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


ガーディアン紙より、11月15日に掲載されたバベルの特集記事です。
--------------------------------------------
マージーサイドの身を切るような寒さの11月の日。背後ではやかんが沸き立ち、窓は湿気でくもり始めている。ライアン・バベルは彼の席について丁寧な握手を求めてきた。第一印象は?ヨーロッパの巨大なクラブの一つに在籍するフットボールのスター選手としては、彼は際立って控え目に見える。しかし、彼がチームメートをひどく怒鳴りつけたというこんな話がある・・・「そのタッチは何だ?」・・・それはリバプールでの彼の最初のトレーニングセッションの中でのことで、おそらく彼には見た目以上のものがあるのだろう。
彼は興味深い個性の持ち主だ。バベルは来月で22歳になるが、人は彼をもっと若いと思うかもしれない。彼は少年らしい、ほんのわずかに突き出た歯の笑顔を持ち、彼がリバプールに移籍する前がどんなだったか語っているのを見ると、思わずその肩に腕を廻したくなってしまう。彼はそれまで両親の元を離れたことは決してなく、それから16ヶ月が経過して、彼は今も自分が完璧に心地よく感じられる教会を見つけようとしている。バベルは聖書のコピーをしばしば持ち歩き、試合前には祈りを捧げるための静かな場所を見つけることを習慣としている。

しかし、バベルは生き抜くための知恵の持ち主だ。彼は、アムステルダム郊外の恵まれない地区、彼が生まれ育ったベルマミーアで生き抜かなくてはならなかった。オンラインをクリックするだけで、彼のラップビデオを見ることができる。バベルは自宅にスタジオを持ち、彼のオランダ代表のチームメート、ロイステン・ドレンテとコラボレートしてのRioという名前でレコードを何枚も出している。彼の歌詞は、エミネムを赤面させるかもしれない・・・例えばこうだ。「19番を着けたこのニガが見えるか/俺には使いきれないぐらいの金がある/娘は中に隠しておきな、さもなければあんたは俺の家族になるぜ」・・・しかしこのオランダ人はそんな風には見えない。「最新の曲はEeyeeyoっていう名前で、この夏のオランダのNo.1に入ったんだ。音楽はずっと、僕の人生の重要な一部なんだよ。」

ベルマミーア、通称ベイルマーと呼ばれるそこは、アムステルダム・アレーナに近い高層住宅団地で、かつてのオランダ植民地であったスリナムからやって来た、この都市の7万人の移民の多くがそこに住んでいる。「僕は"ゲットー"という言葉は使いたくないんだけど、人はそこをそんな風に表現している。」バベルは語る。「僕はラッキーだったよ。両親はとても厳格で、僕にルールを作っていたんだ。外に遊びに行く時はいつでも門限が決められていた。でもベイルマーは多くの問題を抱えていて、悪い道を選んだ友達もいたよ。そこにはドラッグと犯罪が蔓延していて、一度そういう中に入ってしまったら抜け出すのは難しくなるんだ。」

ここは1992年に、ニューヨーク発テル・アビブ行きの飛行機、シンガポール空港で燃料補給したエル・アル航空1862便が墜落した場所でもある。「あの飛行機は僕たちの階の方に飛んで来て、一つ上の階に激突したんだ(彼はそれがどれぐらい近かったかを手で示した)。僕たちのところにぶつかっても全くおかしくなかったよ。」彼の隣人たちが39人、飛行機の乗務員が3人、そして乗客は1人だけが犠牲になった。「恐ろしい記憶だよ。あの時の僕はほんの子供(6歳の誕生日の2ヶ月前)だったけど、今でもまだ覚えている。ものすごい爆発音があって、外に飛び出した僕たちは充満する炎と煙を見たんだ。それは僕たちのところからすごく近くて、安全ではなかったからその階を離れていなくてはならなかった。結局おばあちゃんのところに行ったよ。後で帰宅が許されたんだけど、僕はあの完全に破壊された情景をいまだに思い出せる。まるで映画の1シーンのようだった。」

彼が受けた教育は、彼を有名人の生活よりも現実の生活の方にもっと興味を持つ人間に育てた。バベルはリバプールのフットボーラーであるばかりでなく、すばらしい大使でもある。彼はアンソニー・ウォーカー財団の運営する人種差別反対運動に参加しており、今週はまた別の、リバプールの"Respect 4 All"センターで開催されたプレミアリーグのCreating Chancesイベントに参加した。このプロジェクトは、プレミアリーグのプロフットボール協会が資金を提供しており、12歳から16歳のさまざまな障害を持つ子供たちに向けたものだ。

バベルは子供たちの中に気軽に入って行き、車椅子バスケットボールを始めた。それから視覚障害を持つ子供たちとのシュート練習、重度の学習障害を持つ子供たちとのPK練習に参加した。その2時間は通常だとトレーニング後の休息時間にあてられているが、その時間を終えた彼は幸福だった。「こういう子供たちを自分が幸せにできるっていうのは、いつでも嬉しい気持ちになるよ。期待するような人生を皆が送れるわけじゃないけど、彼らはそれでもベストを尽くせると僕は思うんだ。そして、こういうセンターで僕たちは彼らを元気づける力になりたいんだよ。」

バベルはスポーツマンの遺伝子を持っている。彼の父親Gunoはバスケットボールのコーチだ。彼の母親Astaは熟練のアマチュアアスリートで、姉妹のJaniceは100mと200mでオリンピックまでもう少しのところまで行った。彼女の兄弟と同じぐらい速いのか?「近いよ」彼は笑う。

彼の持つ運動能力は彼が11際の時に最初にアヤックスに注目されたが、それは一直線に進んだわけではなかった。「彼らは地元の子供たちを対象に選抜日を設けていて、僕はそういうトライアルに3回参加して全部落ちたよ。」彼は述懐する。「3回目には、僕は自分が力不足なんだと考えてすごく腹を立てていた。その時僕は8歳で、『わかったよ、僕はもうアヤックスでなんかプレーしたくない!』って思ったよ。でも僕は所属のアマチュアクラブでいいプレーを続けて、最終的にはアヤックスの方から僕のところに来たんだ。」

地球上の地域社会で、1人当りを換算すれば、スリナムよりもトップフットボーラーを生み出している場所はない。彼らはかつて、 ルート・フリット、フランク・ライカールト、クラレンス・セードルフ、エドガー・ダービッツ、パトリック・クライファートを排出した・・・全員がスリナムをルーツとし、彼らでワールドイレブンを作れるかもしれない。バベルはその長い系譜の最新版のようだ。17歳の誕生日を迎えて間もなくの時に彼はアヤックスでデビューを果たし、18歳の時には、1930年以来のオランダ代表で最年少ゴールを記録した選手となった。

彼は£11.5mでリバプールに移籍し、そのファーストシーズンではクラブの若手最優秀選手となった。しかしフラストレーションがちらりと見え隠れする。昨シーズンはバベルは48試合に出場してベンチからは20回だったが、今シーズンは開幕以来、彼の立場はもっと端に追いやられている。14試合出場中10試合が交代出場で、偉大なるマルコ・ファンバステンの、彼は次世代のティエリ・アンリになれるという予言を実現するのを難しくさせている。

「僕は自分のパフォーマンスのレベルには満足しているけど、状況は明らかだ・・・僕はレギュラーの11人のスターティングメンバーの中には入らない。」バベルは言う。「難しいよ。僕はフラストレーションを強く感じている。僕はまだ21歳で、キャリアをスタートさせたばかりなんだと自分自身に言い聞かせることはできる。でも僕にとっては厳しいよ。時間が経っても、彼らは僕に、君は若いんだからそのうち時が来ると言い続けている。そう、OK、でも僕は待つのが好きな選手じゃない。3、4年後じゃなくて、今チームに入りたいんだ。」

一方で、ラファエル・ベニテスはフェルナンド・トーレスのパートナーとしてロビー・キーンを起用し、バベルはほとんどウィングで起用されている。彼の速さはどんなサイドパックにも問題を引き起こすことができるが、バベルはしぶしぶながらサイドでプレーしている。「僕はいつも、自分はストライカーとしてプレーしたいんだと言って来た。」彼は言う。「もちろん、時々は別のポジションでプレーしたり練習ができなければ、自分が成長する助けにはならないだろう。でも毎回だよ・・・僕はオランダでは普段ストライカーとしてプレーしていた。僕はストライカーとして育って来た。そこが僕がプレーしたいポジションなんだ。

でも、僕はそれに取り組んでいるよ。他の誰かを非難する前に、自分自身を見つめている。なんとかやるつもりだし、それに怖気づいてはいない。」Respect 4 Allの子供たちが知っている通り、バベルは真ん中での役割をやりたがっている。

----------------------------------------------
ラファは今シーズンは彼をもっとストライカーの役割で起用するつもりだと明言していましたが、その出場機会は減っています。オリンピックや怪我などのいろんな要因が重なったこともあります。彼は「自分のパフォーマンスに満足している」と言っていますが、外から見ていると正直まだまだ物足りないと感じます。彼はもっともっとやれるはずです。ポジションを取るためには周りを納得させるプレーをしなくてはなりませんし、そのために彼は戦うでしょう。頑張れ!

Respect 4 Allの施設や活動については、公式HPのこちらで紹介されています。モモ・・・。

PR
COMMENT
Name
Title
Mail
URL
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment
Pass   コメント編集用パスワード
 管理人のみ閲覧

無題

お疲れ様です。
おっしゃるように、コンディション的にもまだまだ物足りない感じですね。ラファはチーム力を上げるためにも獲得した選手はフィットするまで使い続けますし、もうしばらくはこのような機会が続きそうですね。冬に向けて今のうちにコンディションを上げ、ストライカー・ウィンガーに拘らず成長していって欲しいですね。
これからの試合で、得点の取りこぼしを減らし楽な展開でバベルやザハルの起用を望んでます。

Re:無題

右にエル・ザール、左にバベルという攻撃のオプションができたら楽しそうですね~。2人ともセカンドトップもできるし。早くそんな日が来て欲しいです。
おっしゃる通り、ラファはまだしばらくキーンを起用し続けると私も思います。バベルは怪我やオリンピックでチーム合流が出遅れた分、これからコンディションを上げていって、タイトル争いが激しくなる後半にばっちり仕事してくれることを期待してます!
TRACKBACK
Trackback URL:
10 2024/11 12
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
(05/20)
100
(04/16)
(04/15)
(03/01)
NAO
(02/28)
プロフィール
HN:
フニクラ
性別:
非公開
趣味:
サッカーを見ること。
自己紹介:
リバプールを応援しています。
ブログ内検索
携帯はこちらから
<<「裏方のおかげです」byラファ  | HOME |  「油断禁物」byカイト>>
Copyright ©  -- FIELDS OF ANFIELD ROAD --  All Rights Reserved
Designed by CriCri / Photo by Melonenmann / Powered by [PR]
/ 忍者ブログ