SKY SPORTSのRevista de la Ligaという番組で、トーレスがインタビューに答えました。その内容がインタビューアーを務めた
Guillem Balagueのサイトに紹介されています。2回に分かれて放映される1回目です。
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Guillem Balague:フェルナンド、昨年はすばらしい1年でしたね。リバプールでの1年、そしてEURO2008でスペインの優勝がありました・・・しかし怪我という悪い時期もまたありました。この12ヶ月をどう総括しますか?
Fernando Torres:忘れられない1年だよ。ネガティブなことよりもポジティブなことの方がずっと多かったと思う。リバプールに在籍しているスペイン人選手としては、EURO2008の優勝ではリバプールがトロフィーを何も勝ち取れなかったという事実を補うことはできない。でも僕たちの祖国にとって、そして祖国を代表する選手である僕たちにとって、あれは僕の生涯に永遠に残る、本当に忘れられないものだった。
ヨーロッパでリバプールのようなクラブを代表することは名誉だし、僕たちはチャンピオンズリーグの準決勝へ勝ち進み、延長の末に敗れた。僕は週末と水曜日ごとに最高レベルの中でプレーができたし、ゴールを決めることができて国際的に認知されたよ。最後の2ヶ月は怪我で年を終えることになってしまったけど、それはすばらしい1年のちょっとした中断に過ぎなかった。
Guillem:ピレスやアンリのように、選手にとって新しい国での1年目というのはしばしばその手腕を問われるものになりますが、あなたの場合は全てが完璧に進んだように見えます。負傷から復帰した時でさえ、良いプレーができているようでしたね。これだけ早く適応して成功できた、その理由は何だと思いますか?
Torres:正確にはわからないよ。僕はイングランドのクラブにやって来たけど、ドレッシングルームの中でスペインの存在感がものすごくあるクラブだからね。クラブにはスペイン人選手たちが在籍していて、コーチングスタッフも何人かはスペイン人で、アルゼンチン人もいる。スペインでプレーしたことのある人たち、そこの言葉を話す人たちがいる。僕はチームメートと何でも話せたし、アドバイスを貰えて彼らと良く知り合えることもできた、それがこの移籍をやりやすくしてくれたのは間違いないね。
ぺぺ・レイナは僕の隣人で、すごく近くに住んでいたから他の誰よりも僕を助けてくれたよ。でも、僕にとって実際に物事が始まったのは、チェルシーとの1戦からだったと思う。初戦で得点できればあっという間にやりやすさを感じ始められて、何もかもがずっと簡単になるんだ。
Guillem:怪我からの復帰は早すぎたと思っていますか?早く復帰しようと自分自身に過大なプレッシャーをかけていたと感じましたか、またはチームメートと監督があなたを切実に必要としていることを感じていましたか?
Torres:いや・・・僕たちは、僕がチームに復帰するために必要な治療スケジュールに沿ってやっていた。怪我から復帰した時には、最初の1週間には常にリスクが伴うということはわかっているし、選手としては自分のキャリア全体の中でそういうこともあるんだと受け入れなくてはならない。初めは怪我はそれほど深刻なものには見えなかったのに、復帰して結局もう1ヶ月離脱しなくてはならなかった、それは不運だったんだよ。そういうことが起こってしまったら、回復のために必要な時間をしっかりと取って、できるだけ早くプレーに復帰しなくてはならない。理論的には、僕たちは最初の怪我の時に全てを適切にやった。それでも時には物事が望まない方に変わってしまうことがあるんだよ。
Guillem:あなたがスペイン代表チームに戻った時には、一般的な認識としてあなたは選手として成長していたと考えられています。どうやって成長できたと思いますか、そしてその理由は?
Torres:フットボーラーには誰でも、そのキャリアの中に選手として成熟する時期があるんだと思う。自分の能力に揺ぎない自信を感じ始めて、もっと良くなれると実感するような、微調整に取り組むことができるようになるんだ。「選手として成熟する」ということは、フィールドの中での自分のポジション取りの重要性をはるかに良く理解するというような、そいうことを指しているんだ。より完璧なフットボーラーになるということだね。
僕の場合は、自分のフットボールの質に合うリーグを見つけられたというだけではなく、自分の好きなスタイルでプレーするチームに出会えたということでも幸運だったよ。ジェラードのような、ボールを持ったら僕に目を向けてスペースを作ってくれる選手がチームの中にいて、一緒にプレーできるというのも幸運だね。それが僕にさらに自信を与えてくれているよ。
Guillem:ラファエル・ベニテスは、彼独特のやり方をする熱心な監督ですね。彼が、選手が正しく理解するまで何度も何度も同じことを繰り返させる、常にあなたたちと接触を取り合う人であることを私は知っています。1選手として、ラファと共に働くというのはどんな感じですか?
Torres:ちょっとリラックスしたいなと思う日もあることは認めなきゃならないね。でも彼はとても理路整然とした監督で、1日24時間フットボールに熱中している人なんだ。いつもフットボールのことを話しているよ。彼と話す時には、どんな会話でも最後はフットボールで終わるって感じだね。彼のアプローチは理路整然としていて、僕たちが選手として気がつきもしないような細かいことに気がつくんだ。自分たちのプレーのレベルとの間にすぐには関係が見出せないようなほんの細かいことなんだけど、ラファはそれが出来るんだよ。
昨年を振り返ってみれば、彼のやり方が正しいことは明らかだ。彼は僕に、今まで重要だとは考えてもみなかったようなことをすごくたくさん教えてくれたよ。そして僕たちは結果を出している。
Guillem:昨年、リバプールはあなたの前チームであるアトレティコ・マドリーと対戦しました。あなたは怪我のために試合をスタンドから観戦することになりましたが、それで試合の準備期間中あなたはプレスから逃れていられました。明らかに誰もがあなたに試合のことを聞きたがっていましたからね。あの経験全体をどのように感じましたか?
Torres:また違う類の試合だったよ。特別なものだった。僕はずっとアトレティコの一員だったから、彼らと対戦したことは今までなかった。移籍してからこんなに早く彼らと対戦できる、すばらしいチャンスになったんだけどね。アトレティコを離れた時、僕が起きて欲しいと望んでいたことのひとつが、いつか自分の元のチームとチャンピオンズリーグで対戦して、カルデロンへ行ってファンに再び出会い、ここイングランドで彼らを迎えることだったんだ。
結局、そういうこと全てが実現したのに、僕がそこでプレーできなかったというのはものすごく残念だったよ。マドリードでも、アンフィールドでもプレーしたかったし、あの試合をその中に加わって経験したかった。怪我に加えて、あのことが昨年のネガティブなものだったと言えるかもしれない・・・でももしかしたら、僕たちはこの後でもこの大会で対戦できるかもしれない。
Guillem:あの試合の中でリバプールは得点しましたが、あなたは右手でガッツポーズを取りながら、左手の指は交差させて祈っていたのではないですか?
Torres:いや・・・いいかい・・・今は僕はリバプールの選手なんだし、僕たちの勝利を願っていたよ。もちろんどちらのチームにも次のラウンドに勝ち上がって欲しかったから、それが実現してうれしかったよ。両チーム同士の試合は2つとも引き分けで終わって、皆が満足して僕たちは2チームとも次のラウンドに進んだ。僕たちがラッキーなら、この大会の後半で再び彼らと当たることになるだろう。二つのファンのグループが一緒に歌っているのを見られたのは、すばらしかったよ。僕にとっては、特にマルセイユでああいうことが起きた後で、情熱的なファンのグループがああいう違いを見せたことに関われたのは名誉だった。
Guillem:そして、チャンピオンズリーグでの次の対戦相手はレアル・マドリーです。この試合がうまく行くか、あなたはどう見ていますか?
Torres:そうだね、僕たちは2月に試合に向けて自分たちの状態がどうか、試合に入る時の相手の調子はどうかを見なくてはならないだろう。一見してみれば、レアル・マドリーは巨大なチームだ。彼らは常にヨーロッパの大会の中で競い合っていて、今年が何か違う理由はない。でもここ数年間のヨーロッパの大会で、僕たちはどんなライバルが相手でもタフな戦いを仕掛けられることを証明して来た。僕たちが試合をコントロールできるそのやり方のために、どのチームも僕たちとやりたくはないだろう。アンフィールドでセカンドレグを戦えることを考えれば、観客にとってすばらしい組み合わせだし、きっとすばらしい2試合になるはずだ。他にも面白そうな組み合わせはあるけど、レアル・マドリー対リバプールが一番だと思う。
Guillem:ラ・リーガではバルセロナがあらゆる記録を破り続けています。海外からラ・リーガを見て、彼らのこれまでのパフォーマンスをどのように感じていますか?彼らは現時点でヨーロッパ最高のチームだと思いますか?
Torres:うん、間違いなくね。彼らのそれぞれの試合へのアプローチの仕方、大量のチャンスを作り出して勝利を目指すそのやり方を見れば、すばらしい状態にあることがわかるよ。このバルセロナについて言えば、彼らは今の自分たちに決して満足せず、常にもっと上を目指している。彼らがそのチームの中に擁している能力のある選手たちの多様さはファンタスティックで、負傷者が出てもその影響は限られているだろう。誰が怪我をしても、その不在にさえ気がつかないんじゃないかな。彼らがどこかで調子を落としそうには見えないし、実際その正反対で、このまま進化を続けて行きそうに見えるよ。
Guillem:6ヶ月度ごとに、チームには新たな選手を加えるチャンスがやって来ます。6カ月おきに様々な移籍のうわさが飛び交い始めるわけです。あなたについては、チェルシーやマンチェスター・シティのようなクラブがプレスの中で結び付けられていますね。そういううわさを聞いてどう思いますか?
Torres:正直言って、この国ではそれに気がつくのも難しいぐらいなんだ。マドリーにいた6、7年間は毎年夏は完全にめちゃくちゃだったよ。それに比べればイングランドはずいぶん静かだね。まるでほとんど、言われていることは何も起こっていないかのようだ。チェルシーのようなクラブとのうわさが出るのは物事が正しくうまく行っている証拠だけど、僕のいる場所、僕がいたいと思う場所に関しては議論の余地は何もないよ。
Guillem:リバプールというものを言い表すような瞬間を、あなたは何か経験しましたか?もしくは、そういうことを要約するような会話を何か交わしましたか?
Torres:それはいろんなことが重なってのものだね。昨年一年間は毎日、僕は自分がどこにいるのか、自分が何の一員になったかに気づかされていたよ。空港に到着した日のことを僕は覚えている。パスポートコントロールにものすごく長い列が出来ていたんだけど、そこの人たちは僕を先に行かせてくれて、拍手を始めたんだ。彼らがその前に僕のプレーを見たことがあったのかどうかもわからない。僕が進んで行っても、スペインではいつもあったような、僕を押したり掴んだりする人は中に誰もいなかった。人々はただ握手を求めて、僕の幸運を祈り、僕が来たことに感謝を言ってくれた。リバプールの選手であるということ、他のどこでもないこのクラブの一員となることがどんなに特別を悟った瞬間だったよ。
Guillem:トーレスのチャントについてはどう思いますか?
Torres:僕は好きだよ・・・
Guillem:家で誰かあれを歌う人はいますか?
Torres:小さいいとこ、友達、皆だね。
Guillem: 英語で?
Torres:うん、彼らもちょっと勉強しているんだよ。
Guillem:あなたとケニー・ダルグリッシュとの会話の中で、彼があなたがKOPスタンドから試合を見られないのはものすごく残念だと言った時に、あなたがいつかそれが実現することを願っていると答えたのを私は覚えています。あなたは選手としてダルグリッシュと比較されていますね。もう彼と何度か会っていますが、あなたと彼との関係について私たちに教えてもらえますか?
Torres:それはすばらしいことだと思う。僕は自分をそんな風に比較されるほどだとは思っていないから、彼にちょっと申し訳なく感じるよ。彼はまさしく、このクラブの歴史の中でナンバーワンだ。でも、人はいつでも過去と現在の選手を比べたがるものだし、それが間違いないのかどうかを言うのは難しいよ。僕にとっては、リバプールの歴史上最高の選手だと広く考えられているような選手と比較されるというのは名誉なことだ。ずいぶん時は経っていても、このクラブはいまだに彼が現役だった時と同じように尊重している。僕もいつの日か同じ敬意を受けられるかどうかは、あと数年は見てみなくてはならないだろうね。僕はここで多くのものを勝ち取りたいし、ここで長くプレーしてその間に多くのゴールを決めたい。ダルグリッシュが彼の時代にやったのと同じだけの幸福を、リバプールのファンにもたらしたいと思っているよ。
Guillem:今シーズンのこれまでを統括するひとつの方法として、リバプールがリーグの首位に位置し、そのほとんどの部分でトーレスを欠いていたということが挙げられるでしょう。それをどう見ていますか?タイトルを獲得する現実的なチャンスがあると思いますか?
Torres:今シーズンの僕たちは、優勝に向けて本当に変わったよ。ベニテスのチームは決して一人のチームではなく、グループなんだ。僕たちは自分たちのやり方でプレーして試合に勝つ方法を知っている、団結した一団なんだ。僕がいなくても、ジェラードを欠いた状況でも、マンチェスター・ユナイテッドの試合のように僕たちはビッグチームを倒して来た。それはチーム全体にとってポジティブなことだったと思うし、チームの選手全員の重要性を表していたよ。ここでは皆が重要なんだ。僕たちは、リバプールがプレミアリーグ優勝を果たすという同じひとつのゴールに向かって努力をしている。これが達成できたら、それは一体となった努力の賜物で、誰か一人の選手が特に称賛されることはないだろう。グループの努力だよ。
Guillem:もう5月に休暇の予約を取った人を、あなたは誰か知っていますか?
Torres:そうだね、それをやるにはまだちょっと早すぎるだろうね。スペイン代表でヨーロッパチャンピオンシップで優勝して、それがどんなものか経験したよ。決して忘れられることない世代の選手たちの一員になった。僕たちがリーグ優勝できたら、このリバプールのチームでも同じことを言えると思う。それができたら、僕たちはリバプールのファンの心の中に長い間記憶されるだろう。
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トーレスのインタビューにはいつも何か心にぐっと来るものがあるんですが、今回は空港の話が良かったですね。リバプールのファンはやっぱり世界一です!
このチームがリバプールのファンの心に生涯残るような、そういう結果を出して欲しいですね・・・。2004/05のチームも決して忘れられないですが、リーグ優勝を果たした暁には、それを超えるチームとして長く語り継がれることになるでしょう。
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