Liverpool Echo紙より、アシスタントマネージャー パコ・アジェステランの今シーズンに向けてのコメントです。面白い内容だったので、全文を訳してみました。
----------------------------------------------------------
メルウッドには、リバプールのスターたちが‘Pako Hill'とあだ名をつけた芝生の小山がある。ここ3年のアンフィールドの歩みのメタファーとして、チームがいつもその頂上を目指して奮闘している様子よりも、それを良く表しているものを見つけるのは難しい。ラファ・ベニテスの副官パコ・アジェステランが作ったそのトレーニング場所・・・選手たちが駆け上がったり下りたりしている人工の丘・・・彼はリバプールが世界一フィットしたチームになるということを、目に見える形で示した。
彼は言う。「我々は毎年施設を改善しようとしていて、あの丘もまたその別の方法だよ。丘は全部で3つある。一つは勾配5度で全長34メートル、二つ目は勾配5度で24メートル、もう一つが全長70メートルだ。」
拍手喝采には興味のない人間として、彼がチームは目標達成を間近にしているといういかなる意見も退けているのは、驚くにはあたらない。彼の伝説的前任者であるロニー・モーランは、リバプールの進化について誇大に言われているとしても、現実を査定すればそれは信頼に値すると語った。
アジェステランは同業者だ。現在のチームの立ち位置を査定するとなれば、彼は明らかな懐疑論者である。正しい方向に従っての一連の歓迎すべき大型補強にもかかわらず、彼は、クラブの心理的な抜本改革によってのみ、リバプールは最終ステップへの準備が出来るだろうと主張する。
「我々はリバプールを取り巻く文化を変えなくてはならない。」アジェステランは言う。「我々全員が責任を持っている。コーチングスタッフ、選手たち、経営陣、そしてサポーターがだ。
私が言っている変革とは、精神面のことだ。リバプールがその変化を受け入れる準備があるかどうか、私は確信出来ない。そしてそれは、我々を次のステップに導く最大の障害となり得るんだよ。イングランドであまりに多くの試合があるということは誰もが受け入れなくてはならないが、全ての大会が重要なんだと誰もが言う、それについては私は同意できない。
もしも我々が全ての大会で同じ選手をスタートさせるとしたら、成功するのは不可能だ。リバプールの規模のクラブは全ての大会が等しく重要とみなすべきではないということが認知されたなら、我々は最も重要な試合で選手たちからもっと力を引き出すことが出来るだろう。
また、イングランドフットボールでは、毎週同じ11人でスタートするのが多すぎる。もしそれが可能なら、経営陣にとってはそれはすばらしいことだろう。毎シーズン11人の選手だけを使えば、23人のチームを作るのに金を使う必要はないからね。
一部の選手は、あまりにも長い間に渡って過剰なプレッシャーにさらされて来た。我々が来た時、人々はスティービーがそれまで何年も、スタジアムの内外でチームのためにどんなに大きな責任を背負ってきたかを話していたよ。これは彼にとっても彼のチームメートにとってもフェアじゃない。成功を収めるためには、いつも同じ個人に頼っていてはだめなんだ。グループ全体が尽力しなければ。」
アジェステランは、これからの数ヶ月に過大な期待がされることは危険だと感じている。
「私は今シーズンの予想については考えていない。」彼は言う。「優勝するチームになるというのは、プロセスなんだ。夏に6人の選手を獲得しなければならないとしたら、それはタイトルを勝ち取りたいと思うのに良い状況だと私には思えない。たった1年でどこかのチームが劇的に変化したなんて、私は今まで見たことがないよ。我々がバレンシアに行って1年目でラ・リーガで優勝した時でさえ、チームはそれより前の何年もにわたって徐々に良くなっていたんだ。
マンチェスター・ユナイテッドは、昨シーズンの出来だけで優勝したわけじゃない。彼らはここ3年に渡って進化してきたからこそ、それが報われて優勝したんだ。ただシーズンごとに2、3人の選手を買っていたからじゃない。
まず始めに我々がやらなくてはならないのは、プレミア優勝を視野に入れられるポジションまで上がっていくことだ。我々がそのポジションにいるとは、私はまだ思っていない。だからそれがまず最初の野望なんだ。
過去5年間で、リバプールがリーグタイトルに迫っていたと言えるだろうか?それはNOだ。もちろん我々は自分たちがそこに迫れると信じなくてはならないが、今シーズンにそれを期待するのは大きな誤りだと思う。
大きな期待を受けると、本来は中期や長期に渡る計画を取るべき時に、早い結果を求めようとしてしまうものだ。それがまた間違いをもたらしてしまう。マンチェスター・ユナイテッドがいかに物事を適切に処理したかということだよ。
我々の最初のシーズンにチャンピオンズリーグで優勝したことで期待は高まったが、我々は偉大なチームではなかった。あの大会で優勝までに戦わなくてはならないのは、ほんの11試合だ。」
アジェステランの冷徹な評価は、一部の向きにはネガティブだと解釈されるだろう。彼はこれに対して、現実的になることこそクラブの利益のなるのだと反論する。
「グループとしては、我々は全てをポジティブに考えているよ。」彼は主張する。「それが全員からベストを引き出すやり方なんだ。ポジティブな思考だけで十分かどうか、それはわからないが、どんな状況だろうと我々が懸命に努力するだろうということは確かだよ。
我々のチームの背骨は、リーグの他のどこにも劣らないくらい優れている。チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドのように、我々はチームの背骨を変えることはない。その他の選手たちは我々の進歩のために必要で、我々がどこまでトップに迫れるかを決定付けるだろう。しかし新加入の選手たちには時間を与えることも必要だ。
我々は望む場所へ進んでいる最中で、3年前からいろんなことを解決してきたが、人々はまだまだこれから進むべき道があるのを理解しなくてはならない。」
その時まで、リバプールの選手たちは困難な頂上への到達を試み続けるだろう。
「メルウッドのあの場所を最初に‘Pako Hill'とか‘Pako Peak'とか呼び始めたのはロビー・ファウラーだよ。私は1週間かけてあれを作るのに、選手たちも一緒にやらせようとしたんだが、無理だったよ!」アシスタントマネージャーは笑った。
アジェステランが彼らを導き続ける限り、リバプールは最終的には彼らが切望している高さまで登りつめるだろう。
--------------------------------------------------------------------
パコ・ヒルに選手たちが懸命に駆け上がる姿、見てみたいですね。さすがラファの右腕と呼ばれる人のコメント、冷静に見ているなあ、と思います。この人は選手のフィジカル面の管理に非常に優れた人らしく、怪我をした選手のコメントにはよくその名前が出てきます。パコ・ヒルもフィットネスに大いに役立っているんでしょう。それにしても選手の一人や二人は手伝ってやれよ~!
PR